世界では水産業が成長産業なのに「海水温上昇」で日本の周りだけ魚が獲れないなぜ
■世界で水産業は紛れもない「成長産業」 次のグラフは世界全体(赤の折れ線グラフ)と日本(同・青)の生産量を比較したグラフです。世界全体では1980年代の1億トンから2倍に増加して現在は2億トンになっていて増え続けています。対照的に、同時期に日本は同1200万トンから400万トンと3分の1に激減して、さらに減り続けて悪化が止まる気配はありません。 このように、世界と日本の傾向を比較すると「何故これほどまでに違うのか?」という大きな疑問がわくはずです。わが国では青い折れ線グラフのほうしか学校で取り上げないため、水産業は魚が獲れず、後継者もいない厳しい一次産業と習ってしまいます。しかしながら、実際には世界人口と水産物の需要増加を背景に、紛れもない「成長産業」なのです。
社会科の先生がこういった客観的な事実を知る機会がないまま、授業をしていることで、教えられた子供にも水産業に対する誤解が広がり、国民全体が誤解してしまっているのです。 全国でさまざまな魚が減って報道される際、表現によって伝わり方が変わってしまうのはとても残念なことです。魚が減った理由について「海水温上昇や獲りすぎが原因」という表現では「海水温上昇」に主に原因があると取られてしまいます。同様に「外国漁船の影響や獲りすぎが原因」という表現でも同様に「外国漁船」のほうに意識がいってしまいます。
これを「獲りすぎに加え、海水温上昇・外国船の漁獲なども影響」という表現にすることで、社会は「獲りすぎ」という本質的な原因に目が行くことになります。是非心がけていただきたいです。 ■なぜ日本の周りだけ魚が減っていくのか 最初に「外国船の影響」について例を挙げてその理由を説明します。このグラフは瀬戸内海(愛媛県)と日本全体の漁獲量の推移を比較したものです。瀬戸内海で中国や韓国の漁船は操業していませんが、日本全体と同じように漁獲量が減少していることがわかります。