「国際弁護士ってことになってるから」帰省が憂鬱でしかたない"高学歴難民"になった30代男性が漏らした本音
年末年始などに実家に帰省する際、苦しい思いをしている人たちがいる。NPO法人代表の阿部恭子さんは「私が話を聞いてきた高学歴で定職に就けずにいる人たちは、地元に帰るたびに肩身の狭い思いをしている。過去の栄光とのギャップに苦しみ、家族や地元の友人たちと会うことに苦痛を感じている」という――。 【写真】うつ病で大手商社を辞めた30代男性は、地元で勝手に「国際弁護士」にさせられていた… ■親戚のなかでは“ダントツの高学歴”だったが… 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、忘年会や年末年始の帰省ができなくなった時期があったが、数年前から平常に戻り、そうした恒例の行事を面倒に感じるという人々も少なくはないのではないだろうか。 今回は、年末年始、地方の実家に帰省することが憂鬱(ゆううつ)で仕方がない「高学歴難民」。つまり、高学歴にもかかわらず、定職に就けずにいる人々に焦点を当てたい。彼らにとって帰省は、優秀だった過去の自分と現在のギャップを思い知らされる過酷な旅となっている。 なお、個人が特定されない範囲で修正を加え、名前はすべて仮名である。 【事例① 地元では優秀だったが、大学院に進学し年収100万円に】 西田勉(30代)は、四国で生まれ育ち、地元の進学校から東京都内の有名私立大学に合格し上京した。 「高校の同級生には東大に行く人もいたし、僕はトップクラスとは言えなかったかもしれませんが、中学では常にトップで、親戚の中ではダントツの高学歴でした」 勉は上京してから、毎年、帰省を楽しみにしており、中学高校の同窓会には必ず出席し、新年に集まる親戚の中では鼻高々だった。ところが……、 「大学院に進学してから社会人の友人とは話が合わなくなり、だんだんと帰省しなくなりました」 勉は、文系の大学院に進学したが30歳を過ぎても定職に就けないまま、非常勤講師を掛け持ちし、現在の年収は100万程度しかない。塾講師のアルバイトをしていたが、年々、生徒や保護者からの評価が厳しくなり、十分な成果を上げられずクビになっていた。