「国際弁護士ってことになってるから」帰省が憂鬱でしかたない"高学歴難民"になった30代男性が漏らした本音
■「いまだにスタート地点に立てずにいます」 少子化の影響で、かつては高学歴難民の受け皿となっていた塾や家庭教師の職も減っており、待遇のいい会社では、それだけ受験勉強のプロとしての能力を問われる。 「こんな惨めな生活をしていることは、絶対に地元の連中に知られたくはありませんし、地元に行くこと自体、嫌なのですが、実家から仕送りをしてもらっているので帰らないわけにはいかないんですよ……」 親戚は既に皆、自分の家庭を持っており、まったく話が噛み合わないという。大学に入学したばかりの頃は、東京の街の様子や大学生活について興味津々に尋ねられたが、今では完全に無視されている。 「順風満帆な生活を送っている中高の同級生の話にはとことん、打ちのめされます……」 地元の私大を卒業し、地元の役所や企業に勤めた彼らのほうが、勉よりずっと年収が高く、ゆとりのある暮らしをしているのだ。留学をしたり、資格を取ったりと、第二の人生を始めている人々もいるという。 「どこで道を間違えたのか……、僕はいまだにスタート地点に立てずにいます。もうここまでくると、逆転の人生はないと諦めていますが……」 ■「司法試験を受けて転職する」と伝えていたが… 帰省先ではどのように過ごすのか。 「とにかく、友人に会わないように家に引きこもっています。誰にも見られたくなくて、実家の最寄り駅に着いてからは、ずっとマスクで顔を隠して歩いています。指名手配犯のような生活ですね」 罪を犯したわけでもないのに、後ろめたさが付きまとうのだという。 「生まれ故郷なので、いつかマスクを外せる日が来ればいいですが……」 【事例② 母親に「息子は国際弁護士」と言いふらされた男性】 北野友也(30代)は、中国地方の人口の少ない町で生まれ育った。両親は非常に教育熱心だったことから、友也は幼い頃から成績が良く、東京の有名国立大学に合格し、卒業後は大手商社に勤務していた。 順風満帆に思われていたが、仕事のストレスで鬱病になり、数年で退社することになった。 「内定をもらった時、両親はすごく喜んでいたので、病気の事は話せませんでした。それで、会社を辞めるのは、司法試験を受験して法曹資格を取得して、転職するからと伝えていたんです……」 ところが、病気の影響で集中力が戻らず、試験勉強に着手することができなかった。しばらく通院する生活が続いていたが、最近、障害者雇用で採用してもらえる会社を見つけ、社会復帰の可能性が見えてきた。 給料は、商社の半分だが仕方がない。自分一人で自立して生活できればそれでよいと考えるようになっていた。