タクシー運転士になるための高いハードル「地理試験」が廃止! 試験の中身と本当に不要なのかを「合格経験者」に聞いた
タクシー乗務員になるための関門「地理試験」
タクシーの乗務員になる際に受ける試験のなかでも難易度が高い試験として知られている地理試験。この地理試験が廃止され、歓迎する声と懸念する声の両方が挙がっています。では、廃止に対してさまざまな意見がある地理試験とはどのような試験なのでしょうか。今回は、地理試験を受けてタクシー乗務員になった筆者が地理試験について解説します。 【写真】ただの飾り? 個人タクシーの行灯に見かける「三つ星」の意味
タクシーの地理試験とは?
地理試験とは、文字どおり地理に関する試験で、幹線道路をはじめとする道路の名称や建物の位置・名称などを答える試験となっています。言葉で聞くと簡単に聞こえますが、実際に地理試験を受けてみると、道路の名称や交差点の名称、建物の位置や名前などを地図上でピタリと当てるのは意外にも大変です。 白黒の地図に番号がふられ、複数の選択肢のなかから正しいもの(通りの名称や建物の名称など)を選ぶ試験では、近隣の建物の名称や駅名などが地図上から消されているために「これってどこだっけ?」となってしまうこともあります。 筆者を含め、多くのタクシー乗務員が苦労した地理試験は2024年に廃止されることとなりました。地理試験の廃止について、歓迎する声がある一方で、知識不足を心配する声もあります。 賛否両論ある地理試験について筆者は、なくてもよいのではないかと考えています。筆者は、実際に地理試験を受けてタクシー乗務員になりました。しかし、地理試験が役立ったと感じることは少なかったです。 なぜなら、地図上と実際の道路では、見え方が異なるためです。また、実際にクルマを走らせて土地勘や距離感を身に着けた方が道を覚えられるだけでなく、抜け道や所要時間なども合わせて覚えられると感じたため、地理試験はなくてもよいのではないかと思います(あくまでも筆者の個人的な感想です)。
地理試験の内容と合格点
地理試験は、前述したとおり地図上の道路名や建物名を選択肢のなかから回答する問題や、施設・建物がどの市区町村にあるかなどを答える試験です。つまり、地図を読むことができ、目印になりやすい建物や施設の住所と場所を把握しておく必要があります。このようなことから、難易度が高く合格率が約50%となっているのです。 ちなみに、地理試験の問題は全40問、試験時間は60分で、80%以上(32問以上)の正答率で合格となります。合格発表については、試験を受けた当日にされるため、その場で次のステップに進めるかどうかが決まります。