LIVGOLF来季参戦決定~香妻陣一朗が切り拓く日本人プロゴルファーの新たな道
日本を飛び出し、世界中を転戦した経験は何物にも替え難かった。男子ゴルフの香妻陣一朗が超高額賞金ツアー「LIVゴルフ」に日本選手で初めてフル参戦を果たした。サウジアラビア政府系ファンドの支援で2022年に始まったLIVは、米男子のPGAツアーと対立が続いていたが、メジャー覇者らが次々に加入してレベルが高くなっている。周囲から「ジーニー」の愛称で親しまれる香妻。LIVの実態や得たもの、新たに気付いた日本の素晴らしさなど、〝パイオニア〟が大いに語った。
「4億ちょっと」
LIVは斬新なトーナメント形式を取り入れている。大会は3日間で予選落ちがなく、1大会の出場選手は原則54人。個人戦の他にチーム対抗戦としても争われ、会場には音楽が流れるなど、エンターテインメント性が目立つ。香妻は個人の最高順位が9位で、4月下旬のアデレード大会(オーストラリア)でマークした。「その試合もすごく盛り上がっていた。ギャラリーが騒げて楽しんでいるというのがLIVの特徴だと思う。最初は戸惑いがあったけどすぐに慣れた。音楽がガンガンに鳴っている中でやると、ギャラリーが動いたり音を出したりするのが気にならなくなる」と前向きに話す。 賞金額も目玉の一つだ。もともと、フル参戦を目指した理由について「まず賞金の大きさに魅力を感じた。それに、PGAだろうが欧州ツアーだろうが、今いる場所よりいいところでプレーしたいというのは常に思っていた。LIVが出てきて、すごい選手たちとプレーできるんじゃないかと思った」と説明している。今シーズンは個人別ポイントランキングでは45位に終わった。それでも、年間の獲得賞金について「4億ちょっとくらい。日本でのそれまでの生涯獲得賞金を3試合で超えるほど違いがあった」と明かす。日本ツアーの今季賞金トップが1億円台ということを考慮すると破格だ。 競技の開始は各ホールに選手が分散し、同じタイミングでスタートするショットガン方式。プレーする時間帯が同一ならば、宿泊するホテルもみんな同じで、選手たちの行動スタイルは自然と軌を一にした。ジョン・ラーム(スペイン)やブルックス・ケプカ、ブライソン・デシャンボー(ともに米国)ら世界の強豪たちとコース外でも身近に接触したことは有意義だった。「朝どんなトレーニングしているのかとか、何を食べているのかとか、小さいことだけど、そういったプレーヤーたちがどういう動きをしているのかが分かった。すごく勉強になった1年でもあった」と明かした。ちなみにラームはいろいろな料理を構わず食べ、デシャンボーは栄養素を考えて食べるものに気を付けていたという。