「背中が痛く、体が重い」神奈川県にある“有名な廃トンネル”に足を踏み入れると…心霊スポットを巡るバイク旅YouTuberの恐怖体験
先客がいたので引き返してコンビニで待機
ネットで見た車両通行止めのゲート。情報だとトンネルはこの先だ。 しかし、ゲートの前には車が停めてあった。有名な心霊スポットなだけに、先客がいたのだ。 心霊スポットは予約制ではない。だからこうして別の人とバッティングしてしまうことがある。僕は機材トラブルに続いてスポットの順番待ちで足止めを食らってしまうことになった。 他の人がいるところで撮影はしたくないので、山道を戻るはめになった。先客がいるから仕方なく引き返すのだ。このまま帰ったっていい。そう思うと恐怖心は行きよりもだいぶ薄まっていた。 山道はバイクで10分足らずの距離だ。県道沿いのコンビニまで戻り、そこで待機をすることにした。道を走る車はないので、外を見ていれば先客の車が通ればわかる。 もう帰ろうという気持ちと、一度も心霊スポットを撮影できずに帰るなんてダメだ、これに人生を懸けているんだ、という気持ちがせめぎ合っていた。もう自分は諦めが早いのか諦めが悪いのかわからなくなっていた。 そんなふうにしてコンビニで待ち続け、停まっていた車らしき影が走り去ったのを確認したのは、1時間以上経った頃だった。すでに時刻は深夜1時を過ぎている。さっと撮影して宿に戻るつもりが、深い時間になってしまっている。初っ端から心霊スポット撮影の大変さを思い知らされてしまった。
「エンジン切りたくない…ヘッドライト消したくない…」
再び夜道をバイクで進んでいく。一度通った道でも怖いものは怖い。ぐねぐねとした山道の突き当たりまで進み、先ほど車が停まっていた「車両通行止め」と書かれたゲートの前に着く。すぐにでも逃げられるようにバイクを来た道のほうへ向けて停車させた。 「エンジン切りたくない……。ヘッドライト消したくない……」 あまりの情けない声にふと我に返り、少しだけ冷静になれた。ようやくキーをオフに回しエンジンが停止すると、辺りは静寂に包まれた。 カメラを起動させて、先の見えない暗い山道を進んでいく。ゲートを通り抜けると石造りの小さな橋があり、下には川が流れている。山奥の川だけあって綺麗に見える。そして意外にも僕は落ち着きを取り戻していた。時間を置いて再度山道を登ってきたおかげか、恐怖心は幾分か和らいでいた。 前方にはアスファルトで舗装された山道が続いている。ネットの情報によるとトンネルまでは、ここからさらにしばらく歩かなくてはいけないそうだ。 「どれくらい歩くんだろう……」