独自の睡眠スタイルを進化させてきた。動物たちの眠りの秘密(専門家が監修)
ペンギンは環境で寝姿勢を変えている
ペンギンは飛べない鳥類。飛べない代わりに、鳥類の中でも抜群に泳ぎが上手だ。ただし海中では眠れないため、眠るときは必ず陸へ上がる。南極のような寒い環境では、熱を逃がさぬようにおしくらまんじゅう状態で集まり、雪や氷に熱を奪われないように立って眠る。 その際、接地面積を極力減らすため、爪先を引き上げて踵立ちになるとか。だが暖かい場所ではうつ伏せになり、よりラクに眠れる姿勢をチョイスするようだ。
ヒトが動物の眠りに影響を与えている
現代はヒトの活動が地球環境や生態系に影響を与える「人新世」。動物の眠りにヒトが与えるインパクトは少なくない。 たとえば、イノシシは夜眠り昼間に活動する昼行性動物だが、昼間は人間が盛んに活動するため、昼間に眠る夜行性の性質を見せるものが多い。 だがコロナ下の行動制限で人影が消えた時期は、本来の昼行性を見せるイノシシも増えた。同じ時期、北米では夜行性のコヨーテが日中に目撃されることもあったとか。 取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.876・2024年3月21日発売)