「セモー」のデザイナー上山浩征とプロスケーター荒木塁が目指した ファッションとカルチャーの境界線を超える服づくり
――「セモー」は、これまでにも佃宏樹さんなどのアーティストとのコラボレーションをしてきました。このような経験が、洋服作りにどのような影響や効果をもたらしますか。
上山:私自身が好きでも携われていないことを実現している方に対する尊敬の念がベースにあります。お互いの知識や技術を発揮することで新しいものが生まれたり、さまざまな発見があったりする。自分の創造性を広げてくれる面もあるコラボレーションは本当にありがたい機会だと感じています。
洋服という分野のアドバンテージは、目に留まる可能性が大きい事です。バイアスを生む可能性もありますが、取り払うこともできる。少しでも見てもらえる機会が増えるのなら、自分にとっても、コラボレーションの相手にとってもメリットになると考えています。
人々が視野を広げ、立場やジャンルを超えるためのトリガーを創りたい
――荒木さんはスケーター、アーティスト、アパレルブランドのディレクターとして活躍されています。それぞれについて、どのようにバランスをとっていますか。
荒木:写真とスケートの比重が同じくらい大きくなってきています。写真は「記録できる」ということに魅力を感じて、小学生くらいの時に撮り始めました。それからずっと撮り続けていて、26歳ごろから真剣に取り組むようになりました。
スケートのために海外によく行っていたので、フリーの時間に街を歩いては写真を撮っていました。スケーターと一緒に行動するので彼らの写真も撮っていますが、スケートの写真というよりはストリートスナップの側面が強いと思います。街やストリートでの自由な状況や自然な瞬間を撮ることが好きですね。意識はしてないですが、自ずとスケーターの視点で写真を撮っているのかもしれません。
――今回のコレクションのアイテムを身につける人に、どんな世界観や想いを伝えたいですか。
上山:「セモー」のコンセプトの通り、境界線を超えて欲しいです。例えばテーラードジャケットは好きだけどスケートカルチャーには興味がない人がいたら、これをきっかけに荒木さんを知ったり、スケートカルチャーに興味を持ったりしてもらいたい。逆に荒木さんのファンで普段シャツを着ない人がいたら、今回のコレクションを機にシャツやジャケットを着てみようとか、一歩踏み出して新しい自分を発見してもらえたら嬉しいです。