「セモー」のデザイナー上山浩征とプロスケーター荒木塁が目指した ファッションとカルチャーの境界線を超える服づくり
カルチャーへの敬意と相互への信頼から生まれる
創造的なコラボレーション
――今回のコラボレーションは「ストリートカルチャーと仕立ての良さの融合」がテーマです。コラボレーションの具体的な進行について教えてください。
上山:荒木さんから作品を預かり、できあがりのイメージを簡単に共有しました。アイテムは「セモー」定番のテーラードジャケットやシャツ、パンツの展開。スケートのための服ではないですが「良質なアートやカルチャーをベーシックで作りの良い服を通して見せたい」という思いを体現したコレクションです。
私の世代は、カルチャーをリスペクトして取り入れながら上質な服作りをする先輩たちから影響を受けてきました。荒木さんは同世代で同じような影響を受けてきたからこそ、価値観や感覚の面で信頼関係があり、進行もスムーズでした。
荒木:ぼくは生地から服を作ることはできないし、良いものができる予感がしたので、全面的にお任せしました。「セモー」との過去のコラボレーション内容も大きかったです。ブランドの服作りのことも、上山さんの価値観や人となりも知っているので、彼から提示されたイメージを見てすぐに一緒にやりたいと思いました。
上山:共通のゴールを描き、各々の専門性によって責務を果たすと、気持ち良い仕事になる。プロセスが進んでみないと分からなかったことも、常に想像以上の結果になりましたし、リスペクトし合う関係性が良い相互作用を生みました。
――「セモー」の服作りは在宅時の解放感と外出時の緊張感など、「表裏一体」の中にある調和をコンセプトにかかげています。
上山:あらゆる物事に存在する境界や垣根をどう越えていくかに関心があります。ドレッシーな服をカジュアルな場面でどう着るのか。アパレルの人間が作った洋服が、アート界隈でどう受け入れられるのか。アートやカルチャーの人たちを結びつける服とはどのようなものか。クリエイションを通してそれらを問うための大前提として、洋服の作りの良さ、質の高さは大事にしています。