有罪堅持か税収確保か 脱税告発率、5年ぶり目標値割れ 検察と国税の思惑に温度差も
一方で、法務・検察関係者は「入念に事前協議を行うのは、高い有罪率を維持するためではなく、税金事件(脱税事件)自体が法律的に十分な吟味や検討を必要とするケースが多いからだ」と説明する。
国の税収を確保しながら適正・公平な課税を実現していかなければならない国税と、法と証拠に基づき淡々と事件を処理することが求められる検察。双方の役割の違いが「価値基準の違い」(国税関係者)としてあらわれている格好だ。
検察出身のある弁護士は「告発率7割超というのが(国税にとって)重要な目標値であることは理解するが、無理にでも達成しなければならない『ノルマ』ではない」と指摘。
国民が納得する公平な課税を実現するため、「検察と国税が粛々と協力していくことが重要だろう」と指摘している。(大島真生)
◇
査察調査 国税局による強制調査のこと。法人税法違反や所得税法違反、消費税法違反などの脱税容疑を立証するため、裁判所の許可(令状)を得て行われる家宅捜索で、証拠を押収する手続きを意味する。旧国税犯則取締法で規定されていたが、平成30年に同法は廃止され、任意の税務調査を規定している国税通則法の改正法に規定が編入された。