鈴木おさむ「SMAP 5人旅、震災後10日のスマスマ生放送…長年のライバルであり、一番褒めてほしい人たちを失い、僕は引退を決めた」
32年間務めた放送作家の仕事を、2024年3月、51歳という若さでで引退すると発表した鈴木おさむさん。ともに歩んできたSMAPとの時間を小説『もう明日が待っている』という形で上梓した。引退を決めた理由やSMAPのメンバーとの思い出、数々の仕事について振り返っていただいた。(構成◎上田恵子) 【写真】笑福くん、大島さん、家族の仲良し3ショット * * * * * * * ◆2024年3月31日をもって放送作家を引退 19歳の時から32年間、放送作家としてバラエティー番組の構成をメインに活動してきました。なかでも代表作をひとつ挙げるとしたら、20年9ヵ月続いた『SMAP×SMAP(通称スマスマ)』になるでしょうか。立ち上げ当初から携わった、僕にとって特別に思い入れの深い番組です。 バラエティー番組以外にもドラマや映画の脚本を多数手がけてきましたが、2024年の3月31日をもってこれらすべての仕事から引退しました。現在は、若者の起業を応援するスタートアップファクトリーを運営しています。 スタートアップ支援は6~7年前から本業と並行してやっているものですが、彼らを見ていると昔のテレビ業界を思い出すんですよね。働き方改革とは無縁の、誰もが結果を出すために睡眠時間を削って一心不乱に打ち込んでいたあの時代。 今は「俺もあんな感じだったなあ」と少し前の自分と重ねながら、若い人たちの頑張りを応援しています。
◆リーダーから「5人だけで旅をする企画がしたい」と 『スマスマ』は、ゴールデン・プライム帯で男性アイドルが活躍する先駆けとなった番組です。高倉健さんやマイケル・ジャクソンの出演をはじめ、伝説的な回や人気を博したコーナーがいくつもありました。 なかでも話題を呼んだのが、2013年にメンバー5人だけで大阪を旅した「SMAP 5人旅」です。 当時SMAPは結成25年、『スマスマ』は番組がスタートして17年。裏番組に追い上げられ、スタッフに焦りが出ていた時期でした。 そんな時、グループのリーダーである中居正広から「5人だけで旅をする企画がしたい」と提案されたのです。「世間の人は俺らが仲が悪いと思ってる。だからこそやりたいんだよ」と。 東日本大震災から2年がたち、時代は和、つまりグループの“わちゃ” を求めていました。そういう時期にSMAPのように緊張感があるグループが“わちゃ”をやる、そのギャップが面白いんじゃないかと彼は考えたんですね。有名ゲストを呼ぶことで頭がいっぱいになっていた僕らがその提案を実行に移せたのは、かなり後になってからのことでした。