鈴木おさむ「SMAP 5人旅、震災後10日のスマスマ生放送…長年のライバルであり、一番褒めてほしい人たちを失い、僕は引退を決めた」
◆すべてが上手くかみ合った「SMAP 5人旅」 彼らには旅の当日にサプライズで今から出発する旨を伝えましたが、100%行き当たりばったりでは安全なロケができません。スタッフは彼らの行動を先読みして、出演しているCMへの配慮を含め、できる限りの準備をしておく必要がありました。 「SMAPは今セブンイレブンのCMに出ているから、コンビニに寄る際はセブンイレブンに行くはず。あらかじめ彼らが車で通りそうな店舗に旅行雑誌を置いておこう」「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)にも行くだろうから、旅行雑誌のそのページの記事を差し替えて、広報直通の電話番号を明記しておこう。そして開いてほしいページには開き癖をつけておこう」等々。 食事についても同様です。スタッフが事前に撮影可能な店を何軒か下見して、ここぞと思う店にスタッフの名前で予約。もしも5人が違う店を選んだ場合は、店に迷惑をかけないようスタッフが食事をするという流れです。 結果、彼らはその店に立ち寄り、お好み焼きや生姜焼き定食といったメニューを楽しんでいました。彼らのリアクションはとても自然なものでしたが、実はこういう画を撮るのはものすごくハードルが高いんです。なぜなら人は、カメラが回っているとついつい過剰に反応してしまうものだから。 でも彼らは見事にやり遂げてくれて、2時間スペシャルの「SMAP 5人旅」は視聴率20%を超える神回となりました。 テレビ関係者からは、いまだに「うちでも5人旅みたいな企画をやりたいんだけど」とよく言われます。でも、うまくいかないんですよね。あの企画を成功させるには、タレントの老若男女を問わない知名度とメンバーの絶妙な関係性、そしてスタッフの並々ならぬ熱量が必要になりますから。「SMAP 5人旅」はそのすべてが揃った、稀有な成功例だったと思います。
◆2011年3月21日の生放送 2011年3月11日に発生した東日本大震災。『スマスマ』では震災から10日後の3月21日、「いま僕たちに何ができるだろう」をテーマとした生放送を行いました。 まだ余震が続くなか、ゴールデン・プライム帯で生放送をしているバラエティー番組などなく、実行するには多くのリスクがありました。不謹慎だと批判を受ける可能性もあります。それでも「こんな時だからこそ」という彼らのマネージャーの熱い思いを受け、放送は行われました。 番組には、視聴者の皆さんの気持ちが綴られたファックスが大量に届きました。それを、メンバーが次々に読み上げていきます。SMAPが東京にいて、こうして生放送を行っているーー。あの日5人の姿を観て安心した人は少なくなかっただろうと思います。 番組の最後には、メンバーが被災地への義援金を告知。この告知は2016年に『スマスマ』が終了するまで、1度も欠かすことなく続けられました。