阪急阪神HDの会長再任を救ったのは「タイガースファン」説 今年は宝塚問題で「賛成率57%」とギリギリセーフ
さらに、賛成率急落が明らかになった6月17日の終値は3952円と、前日終値から3%以上も落ち込んだ。 ■57%は高すぎるとの声も 角会長の賛成率にはさまざまな受け止め方がある。 「57%の賛成率は高すぎる」。そう語るのは、関西私鉄大手の幹部だ。この私鉄幹部は、「宝塚の件だけでなくトップ在任期間が長すぎることが問題」と指摘する。 現在75歳の角会長は1973年に阪急電鉄に入社。2003年に同社社長に就任した。そして2006年の阪神電気鉄道との経営統合を経て、同年に阪急阪神HDの社長に就いた。2017年には代表取締役会長とグループCEOを兼任し、現在にいたる。
阪急電鉄時代から数えると、実に20年以上もの長期間にわたり、グループの経営トップに君臨している。 「高すぎる」という声がある57%の賛成率について、関係者の間には「運営する阪神タイガースの熱烈なファンが下支えした」との見方も出ている。阪急阪神HDの株主構成は4割以上が個人株主。しかも阪神タイガースのファンが多いことで知られる。 阪急阪神HDの株主でタイガースファンでもある50歳代の男性は、「昨年の日本一の立役者である岡田彰布監督は角会長が就任を後押ししたとされる。角会長がいなくなると岡田監督も退団してしまうことが懸念され、それでは困る」と語る。
なお株主総会では、タイガースに関する質問が出ることも定番となっている。「外国人のミエセス選手とノイジー選手は活躍していないのになぜ起用するのか」など、今年は2件の質問があった。 ■業績は高水準が続き良好 株主総会では波乱が起きたものの、阪急阪神HDの目下の業績は順調に推移している。2024年3月期は営業利益1056億円(前期比18%増)と、高水準の利益をたたき出した。鉄道事業の旅客数が回復したことに加え、タイガース優勝の特需によりエンタメ事業が収益を押し上げた。