Cookie規制対応は本当に必要? 本質を理解すれば「何もしない」も一つの手かも
Webマーケティング、広告に大きな影響を与えつつある「Cookie規制」。しかし、Cookieが完全に使えなくなるわけではない。 「Web担当者Forum ミーティング 2024 春」に登壇した博報堂の土井 京佑 氏は「ポストCookie対策を進めるためには『正しい理解』が必要」と語る。何がどう変わるのか、どのような戦略・施策を考えるべきかを解説した。
※なお、講演を実施した2024年5月時点では、Chromeの3rd Party Cookieの廃止が予定されていたが、7月22日に「3rd Party Cookieの廃止を見送る」と発表した。本記事は、5月時点の講演情報をまとめているので、その点はご留意いただきたい(編集部)。
Cookieの機能と規制範囲を正しく理解する
Cookie規制の理由にもなっている、「データプライバシーの問題」。ユーザーが知らぬ間にデータが収集され、第三者に提供されているという状況、とりわけデータ収集/提供を行う事業者が不透明でコントロールできないことが問題視されてきた。その解決において、土井氏は、「大きく2つの捉え方がある」と指摘する。 ・法的な規制:個人情報保護法改正による個人情報収集・活用における同意取得の義務化 ・技術的な規制:SafariやGoogle Chromeなどのブラウザによる「Cookie利用制限」 今回は、「技術的な規制」の話を中心にしていく。 ■ ブラウザとは? Cookieとは? そもそもブラウザは「Webサイトを閲覧するためのソフトウェア」であり、Cookieは「Webサイトに訪問したユーザー情報を保存しておくためのブラウザ機能」である。Web上やサイト上の機能と表現されることもあるがそれは誤りで、あくまでCookieは「ブラウザの機能」であることを押さえておきたい。 また、Cookieは悪者扱いされることがあるが、「快適なブラウザ体験」を得るために使用されている。たとえば、次のようなことだ。 ・サイト内でのログインの継続 ・動画の途中停止部分からの閲覧 ・お気に入り登録 など またCookieは2種類ある。 ・ 1st Party Cookie:サイト主が発行する ・ 3rd Party Cookie:サイト主でない第三者(広告/各種ツールベンダー)が発行する サイト主が発行する「1st Party Cookie」と、サイト主でない第三者(広告/各種ツールベンダー)などによって差し込まれるJavaScriptが発行する「3rd Party Cookie」があり、「リターゲティング」や「コンバージョン計測」などに利用されている。 ■ なぜ、Cookieは規制されるようになったのか? それではいったいCookieの何が問題なのか。土井氏は、「ネットにおけるユーザー保護の需要が高まり、マーケティング潮流が変化していること」を挙げる。