銀座の老舗『はしご』の日本式担々麺「だんだんめん」が時を越えて愛されるワケ
●銀座で1960年代から愛される老舗『はしご』の「だんだんめん」の魅力とは?
「担担麺」の本場といえば中国四川省。現地では「ダンダンミェン」と発音し、その特徴は、汁なしで花椒の痺れとラー油の辛さをまとった麺です。ご飯茶碗のような小さなお碗に入り、麺の上にはひき肉、下には辛い調味料が入っていて、よくかきまぜて食べるのがならわし。 【画像】『はしご』のメニュー 一方、日本人が親しんできた「担々麺(たんたんめん)」は、汁ありで芝麻醤のゴマのコクが強いタイプです。これは、1958年に来日した、日本の四川料理の父と呼ばれる陳建民が、日本人好みにアレンジした、いわば日本式担々麺です。 実際、筆者が学生時代に初めて担々麺を食べたときも、汁ありでした。当時は本場・四川の味など全く知らないので、「中国の担々麺ってこんなに美味しいんだな」と思った記憶があります。ただし、料理名は担々麺(たんたんめん)ではなく、「だんだんめん」でした。 この名前を聞いてピンと来た方もいるかもしれませんね。その「だんだんめん」を出していたのは、銀座の『支那麺 はしご(橋悟)』というラーメン屋です。もちろん、その「だんだんめん」は、四川の担々麺をアレンジした日本式。
昭和39(1964)年に創業した『支那麺 はしご(橋悟)』は今も健在。銀座6丁目に本店を構えており(ほかに銀座に支店が2店ある)、昼時にはいつも満席の超人気店です。
昭和・平成・令和と、日本では担々麺専門店がどんどん増え、店主がつくり出す個性的な担々麺もあれば、本場四川の味に近い汁なし激辛タイプも登場。日本の担々麺文化が進化し続けている中、『はしご』の「だんだんめん」は時代を超えて愛されているわけです。さっそく、その魅力をご紹介していきましょう。
白ごはんとの相性が抜群の「だんだんめん」
『はしご』の看板商品はもちろん「だんだんめん(担々麺)」(900円)です。これをベースに、ザーサイや蒸し鶏、カレー味の排骨、太肉(チャーシュー)をのせるトッピングバージョンがあります。 「だんだんめん(担々麺)」以外にも、「支那そば」(しょうゆ味の中華そば)各種もありますが、ほとんどの人が食べているのはやはり「だんだんめん」。中でも太肉や排骨をのせたガッツリ系のタイプが人気のようです。 今回、頼んだのはシンプルな「だんだんめん」。注文時に必ずお店の方から「ごはんは付けますか?」と聞かれます。これはぜひ「はい」と答えましょう。無料だし、小さな茶碗で少量なので、少食の人でも食べられるはず。逆に足りないときはおかわりも自由です。そして何より、このご飯が「だんだんめん」を味わい尽くすのに欠かせないアイテムなのです。