大手がこぞって4000円台止まりも、もはや高級品に? 読売新聞の値上げに見る「新聞・5000円の壁」の苦悩と、本質的な課題
いわゆる「新聞離れ」が叫ばれて久しいが、もはや離れる以前に、そもそも新聞購読が選択肢の中に入っていない可能性もある。大きなネックになるのが、価格設定だ。単発ならまだしも、毎月の固定費としては高すぎると感じさせてはいないか。 そこでポイントとなるのが、月額4800~4900円が「情報の対価」として、納得感を得られているかだ。ニュース配信と単純比較はできないが、例えば動画配信サービスを見ると、Netflixは広告付きプランが月890円からとなっている。
そもそも現代では「ニュースはネットで見るから、わざわざ新聞を購読しない」と考える消費者は多く、またネット上でも、新聞社の公式電子版サービスではなく、ポータルサイト経由で情報収集されることが多い。 つまり、月額購読料といった「部数からある程度の収益が予測できる収入源」ではなく、広告出稿やPV、ポータルサイトのトップページに掲載されるか否かといった「不確定要素の多い収入源」に頼らざるを得ない現状がある。
安定しない収入に依存する背景には、それだけ新聞不況が喫緊の課題であることがある。 しかしながら、安易に手を出そうとすることで、思わぬ失敗を招くケースもある。この11月には、毎日新聞のサイトが「こたつ記事」による誤報を行い、謝罪した。 こたつ記事とは、取材に頼らず、SNSなどの公開情報を基に作成された記事を指すが、中には真偽不明な情報を、よく確認せずに拡散しているケースがある。毎日の場合は、とあるアイドルの「なりすましアカウント」を本人と認定して、投稿を記事化してしまったことが問題となった。
あくまで毎日側は、こたつ記事の掲載コーナーは「試験運用」だったとの認識を示しているが、もし誤報とならなければ、新たな収益の柱として、本格導入されていた可能性も高い。すでに「情報は足だけで稼ぐ」という時代では、なくなりつつあるのだろう。 ■本当に「対策を打ってきた」と言えるのか? 購読料の値上げと、収益源の多様化。いずれも背景にあるのは、従来型の「新聞販売店モデルの崩壊」ではないかと考えている。個人のスマートフォンに情報が産地直送される時代において、全国をカバーする配送網を前提としたビジネスモデルには限界がある。