ビットコインが上昇、トレーダーは10万9000ドルを視野に──ETFへ10億ドル近い流入

休暇明けの市場への回帰とドナルド・トランプ（Donald Trump）氏のアメリカ大統領就任への期待が、ビットコイン（BTC）とより広範な暗号資産（過疎通貨）市場への強気な見方を強めている。 ビットコインは、この1週間で10%上昇し、1月6日の遅くに10万2000ドル台を回復し、12月初旬からの損失をほぼすべて取り返した。12月17日におよそ10万9000ドルのピークを付けた後、12月30日には9万2000ドルをわずかに下回る安値まで下落し、一時的にさらなる下落への懸念が高まっていた。 アメリカのビットコイン現物ETF（上場投資信託）が6日に9億8700万ドル（約1529億8500万円、1ドル=155円換算）を集めたことが急騰の要因だ。SoSoValueのデータによると、この流入は11月21日以来の高水準だ。 フィデリティ（Fidelity）のFBTCが3億7000万ドル（約573億5000万円）の流入でトップとなり、ブラックロック（BlackRock）のIBITが2億900万ドル（約323億9500万円）、アーク・インベスト（Ark Invest）のARKBが7100万ドル（約110億500万円）で続いた。12のETFのうち9つが流入を記録し、流出を示したものはなく、このグループにとって際立った一日となった。 トランプ次期大統領の暗号資産に関する政策とより広範な経済計画がトレーダーの間で再びポジティブな感情を呼び起こし、アルトコインのラリーの典型的な前兆としてBTC価格を押し上げている。 暗号資産取引所BTSEのCOOであるジェフ・メイ（Jeff Mei）氏は7日にテレグラムのメッセージでCoinDeskに対し、「12月下旬の連邦準備制度理事会（FRB）の悲観的な見通しがサンタクロースラリーにブレーキをかけた後、ビットコインの需要が顕在化していると考えている」と述べた。 「トレーダーたちが休暇を終えて仕事に戻り、ドナルド・トランプ氏の就任式が近づくにつれ、ビットコイン、その他の暗号資産、株式の強気なトレンドでの購入が再開された」とメイ氏は付け加えた。 一部のトレーダーは強気なトレンドが確認される前に、短期的に10万9000ドルの水準をターゲットにしており、さらなる高値を狙う準備をしている。 「今のところ、テクニカル面では、11月初旬以来の61.8%にあるフィボナッチ・リトレースメント・レベルからの上昇で成長再開を伴う典型的な調整の完了のように見える」と、FxProのチーフ市場アナリストであるアレックス・クプツィケビッチ（Alex Kuptsikevich）氏は電子メールで述べた。「このシナリオは、10万9000ドル前後の史上最高値が確実に突破されれば確定する。10万ドルを突破した後にはビットコインの成長が加速するものと予想している」。 フィボナッチ・リトレースメント・レベルは、価格変動が一時的に停止または反転する可能性のある潜在的な支持線および抵抗線を特定するためのテクニカル分析ツールだ。一部のトレーダーは、フィボナッチ水準を追跡することで、主要な価格水準を特定する予測価値が得られると考えている。これは、市場で価格変動を引き起こす自己実現的な予言となる可能性がある。 そのため、市場のボラティリティは、10日のアメリカの非農業部門雇用者数（NFP）の発表までは低水準だと予想されている。SOFAのインサイト責任者であるオーガスティン・ファン（Augustine Fan）氏によると、この数字が「意思決定者が完全に職場に戻った」状態で発表されれば、新年度の取引開始のきっかけとなる可能性があるという。 NFPの数値が良好であれば、米ドルが強まり、金利上昇につながる可能性があり、株式やビットコインなどのリスク資産に悪影響を及ぼす可能性もある。 「しかし、今月の最もボラティリティの高いイベントは月末のFOMCとされている。経済統計がまもなくソフトランディングの兆しを見せると予想されているからだ」とファン氏は付け加えた。 1月7日のアジア取引時間にBTCは10万1600ドルをわずかに上回る水準で取引され、過去24時間で約2.3%上昇した。時価総額の大きいトークンを追跡するCoinDesk 20指数（CD20）は約1.3%上昇した。 ｜翻訳：CoinDesk JAPAN｜編集：井上俊彦｜画像：Shutterstock｜原文：Bitcoin Traders Eye $109K as Trump Anticipation Builds, BTC ETFs Rake in Nearly $1B