バスの運転士「補聴器を使用しています」 貼り紙に届いた42万の〝エール〟 「きっと大丈夫」
応援コメントが続々
寺井さんは免許を取得し、研修期間を経て8月に「独り立ち」を果たしました。その際の、Xへの投稿が大きな話題を呼びました。 ポストには「いよいよ独り立ちです。不安ですが頑張ります」という文言とともに、バスの車内に貼られた一枚の紙の画像を添えました。 貼り紙にはこう書かれています。 【お知らせ】 このバスの運転士は補聴器を使用して業務しています 恐れ入りますが、御用の際はゆっくり・はっきりお話しください ご協力のほどよろしくお願いいたします この投稿は44万の「いいね」を集め、3千以上のコメントが寄せられました。 「きっとあなたが運転する後ろ姿で勇気や希望を与えてもらえる人はたくさんいると思います」 「みんなそれぞれできることをやって、社会は成り立っていると思います」 「きっと大丈夫です」――。 なかには、同じように障害のある当事者や家族からの励ましのメッセージもありました。
担当の路線には外国人観光客
ここまで話題になったことについて、寺井さんは「聴覚障害者で路線バスの運転をしている人は珍しいので、反響はあるような気がしていましたが、ここまでとは思わなかった」と驚きます。 「投稿に対して『勇気をもらった』というコメントがうれしかった」と語ります。 この貼り紙のアイデアは、すでに他社でバス運転士として働いている聴覚障害者のインタビューを参考にしたもの。その運転手は、車内の貼り紙で乗客に自身の障害を知らせていたといいます。 一方、貼り紙をしていても、乗客からはあまり反応がないのが実際のところだといいます。 寺井さんが乗務する路線には、御殿場と河口湖を結ぶ路線バスもあり、乗客のほとんどは観光に来た外国人なのだそう。 桑原さんは「英語の表記もつけないといけないねと話しているところです」。 さらに、寺井さんが人工内耳を付けているのは右耳。通路から運転席を見たときに最初に目に付くのは左耳のため、寺井さんは「おそらく障害があることがわかりにくいのだと思います」と話します。