最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」
「星野仙一さん、野村克也さん、日南学園の小川茂仁監督、中学の有田勝則先生……。これまで僕を育ててくれた多くの指導者から学んだことをいま、子供たちに伝えています。 有田先生は僕を褒めてやる気にさせてくれました。高校では絶対的な練習量の大事さを知りました。野村克也さんからは緻密な野球観の土台となる日常生活の大切さ、星野仙一さんからは圧倒的な人望、多くのコーチの方々からはずっと練習に付き合ってくれる優しさを学びました」 【動画】近畿大時代の佐藤輝明 破壊力抜群の打撃練習!監督も「日本人ではなかなかいない」 元プロ野球選手・平下晃司氏(46)は言う。 現在、平下氏は野球指導者として、東大阪市にある「ブリスフィールド東大阪 スポーツアカデミー」のベースボールスクールのヘッドコーチを、「東大阪長田ボーイズ」の監督を務めている。 豪快な“いてまえ打線”を誇った近鉄、F1セブンの一人として注目され、リーグ優勝も経験した阪神、バレンタイン政権下のロッテ、暗黒時代真っ只中のオリックス……。波乱万丈なプロ野球人生を経て、今、平下氏はどんな思いで選手を育てているのか。
「厳しいだけ」「優しいだけ」ではダメ
今のスクールが開設されてから、今年で8年目。生徒は今では160人、多い時には200人にもなりました。 やはり昨年WBCで日本が優勝してから「野球をやりたい」という子がかなり増えましたね。大谷(翔平)くんに憧れる子が本当に多いんです。 うちには小学校低学年、中学生向けのコースがあります。小学校低学年には野球の楽しさを教えるのが目的です。 中学生には高校で活躍することを目標に掲げる選手がいるため、彼らにはとにかく厳しく練習させています。1日500回以上の素振りをさせるとか、とにかく量をこなしてもらいます。量の多さに泣き出す子もいます。でも、量をこなして身体が反応して覚えるまでにならないといけません。 優しいだけの指導でうまくなった選手はいません。一方で怖いだけの指導では選手は萎縮してしまい、言われたことをこなすだけになってしまいます。 私がかかわった指導者の方々は厳しい人が多かったですが、しっかりと選手を見てアドバイスはしてくれましたし、選手がやりたい練習に、最後まで付き合ってくれる方々でした。それを大事にしています。