資産運用業界の女性活躍対策 「横連携」で解決へ:WOMEN AWARD 2024
2024年12月24日に発売された「Forbes JAPAN」2月号の第2特集「WOMEN AWARD」より、企業特別部門の受賞企業を紹介。 特別部門は、ランキングのスコアとは別に、社内や業界内における際立った取り組みを個別に評価するもので、女性活躍推進のために思い切ったアクションを起こし、社員の意識改革や行動改革を実現した事例や、独自の制度設計により多様性理解を促進し、生産性の向上や組織の成長につなげた事例などが対象となる。 今年は、資産運用業界の大手4社が発足させたAsset Management Women's Forumが「ポジティブアクション賞」に選出された。女性のキャリアを描きやすくする「仕組み」をつくり、横連携で課題解決を図ろうというポジティブな取り組みが評価されての受賞となった。 「女性活躍」を旗印に施策に取り組むものの、なかなか成果が表れない。同業他社はどうしているのか。横でつながれば突破口が開けるかもしれない──。 こうして資産運用業界初の横連携によるチャレンジが始まった。野村アセットマネジメントの呼びかけに3社が応じ、翌年にはその輪が15社に広がった。投資信託協会の協力を得てさらに周知を図り、Asset Management Women’s Forum(以下AMWF)は、大手各社をはじめ20社が参画する業界横断組織となった。 資産運用業界には、女性活躍をめぐる共通の課題があった。ファンドマネジャーやアナリスト、エコノミストなど専門職は圧倒的に男性が多く、女性のロールモデルが少ないこと。実は女性が働きやすくキャリア構築にも向いている業界なのに、そのことが外部にあまり知られていないため、採用時の壁になっていること。 「女性の管理職も少ないので、キャリアについて相談したり、有益な情報をくれる女性の先輩が周囲にとても少ないことが悩みでした」と、2024年度AMWFバイスチェアを務める大和アセットマネジメント人事部D&I推進課長の玉木早也香は言う。 こうした問題を各社間で共有するために、AMWFは発足した。外に目を向けることで、ヒントが見つかることもある。業界全体が、女性一人ひとりの味方となったのだ。 ただ、女性活躍は女性だけで実現できるものではない。AMWFでは、性別や役職に関係なく幅広い層に参加を呼びかけている。その効果か、9月の主催イベントでは男性参加者が3割を超えた。 専門性が高い職種ゆえ業界内の転職も多いとはいえ、競合同士が手を組む事例は極めて珍しい。AMWFの活動は各社の社長の耳にも届き、最近では社長自ら社員に参加を促してくれているという。 4社が起こした小さなアクションが業界全体に波及し、いつか大きなうねりを起こすかもしれない。 FORBES JAPAN WOMEN AWARD 2024 ポジティブアクション賞 業界20社が連携 管理職に前向き転換 Asset Management Women’s Forum◎2022年、大和アセットマネジメント、野村アセットマネジメント、フィデリティ投信、三菱UFJアセットマネジメントの4社により発足し、業界を横断した取り組みを行う。
magazine