[インタビュー]チェルシー・浜野まいかが日本人初のWSL王者に。女子サッカー最高峰の名将が授けた“勝者のメンタリティ”とは?
名将・エマ・ヘイズが示したメンタリティ「チェルシーはミスが許されないマシーン」
――チョコレートのたとえは実感がこもっていますね(笑)。最終的に、今季は6試合出場2ゴールという結果でした。どう振り返りますか? 浜野:まずエマ(・ヘイズ)という監督に関われたことは本当に幸せ者だなと思います。その他のスタッフ全員とチームメイト、今シーズン限りでチームを去る選手からもたくさんのことを学ばせてもらいました。 ――エマ・ヘイズ監督はチェルシーでは11年間で13個のタイトルを獲得して、来季からはアメリカ女子代表監督就任が決まっています。インタビューでは「マイカはチェルシーの未来だ」と期待を語ったこともありますが、彼女の言葉で印象に残っていることはありますか? 浜野:エマのメンタリティが、チェルシーのメンタリティそのものだと思います。パイロットって、失敗できないじゃないですか。失敗したら乗客全員が死んでしまいますから。それと同じで、エマは「チェルシーはミスが許されないマシーンだ」と言い続けていて。全員がその意識でプレーしていたと思うし、「負けられない」ではなくて「負けるべきじゃない」と思わされました。 ――その覚悟が常勝軍団を支えているのですね。浜野選手が出場した試合は、強度の高い中でもボールを前に運ぼうとする姿勢が印象的でした。メンタルの変化はプレーにもいい影響があったんじゃないですか? 浜野:そうですね。これまでは「一つ一つのプレーを大切にする」と言いつつ、できていなかったと思います。これはいいのか悪いのか分からないですけど、相手にボールを奪われていなくても、判断のミスで落ち込んでしまう部分は今もあります。 ――以前は負けた試合や、点が取れなかった時に悔し涙をよく流していましたよね。そういう部分でも、変化はあったんですか? 浜野:サッカーはチームスポーツで、一人の責任で勝ったり負けたりするものではないと思います。でも、以前は「自分が活躍して、点を決めたりアシストしたりしてチームを勝たせたい」と思っていたんです。その思いは今でもありますけど、チェルシーではフォワードではなく、サイドのポジションでプレーすることが多いので、「チームが勝つために自分がどうあるべきか」というふうに考えるようになりました。 ――それは大きな変化ですね。 浜野:以前は点を取ることだけが評価につながると思っていましたが、自分が出て、どのような形でもチームの勝利に関われたら、それも評価につながると思えるようになりました。だから、チームが勝つためのサッカーをできるようになったと思うし、去年までに比べてメンタルは強くなったと思います。 <了>