[インタビュー]チェルシー・浜野まいかが日本人初のWSL王者に。女子サッカー最高峰の名将が授けた“勝者のメンタリティ”とは?
リハビリと葛藤の日々。「チェルシーの一員と言っていいのかわからなかった」
――チェルシーとの4年半契約と、スウェーデンのハンマルビーIFへのレンタル移籍が発表されたのは2023年1月。その後、ハンマルビーでは22試合で11得点と新天地ですぐに適応し、イングランドではフィジカル面でもさらに強さを増したように感じます。この1年数カ月の自分の成長をどのように感じていますか? 浜野:「まだ1年しか経ってないんだ」と思うくらい、もう日本からずっと離れて生活しているような気がします。速い選手とプレーしていると、自然と力が引き出される部分があるし、フィジカル面では海外で本当に成長した実感があります。フィジカルにはメンタルの要素も含まれると思っていて、前はフィジカルに自信がなかったから、体をしっかり当てて入れなければいけない場面でも「相手が大きくて負けるかもしれない」と思って逃げていた部分がありました。(2022年の)U-20のワールドカップの時も、なるべくフィジカルでは戦わないようにしていたんです。でも、なでしこジャパンに入って世界で勝つことを目指すんだったら、そこで逃げていたら話にならないと思いました。そういう面では戦えるようになったと思うし、チェルシーではハンマルビーの時よりもプレーの強度が上がったと思います。 ――レンタル移籍から2023年9月にチェルシーに復帰して、同年12月17日のブリストルシティ戦でデビューするまで、左肩のリハビリをしながら復帰を目指していた期間はどんな思いがありましたか? 浜野:自分と向き合う時間だなと思っていました。最初に海外に出てハンマルビーに合流した時は、初日からみんなとサッカーができたんです。サッカーって、最初は言語を使わなくても、ゲームの勝ち負けとかで盛り上がれるし、一緒にボールを蹴ることで心が通じ合うじゃないですか。でも、チェルシーに合流した時は「ただアイシングをしてる人」って感じだったから、みんなと一緒に練習ができなくて。別メニューでジムを使うから、練習時間もちょっとズラされたりして、チェルシーの一員だけど、「一員って言ってもいいのかな?」という感じがずっとありました。