[インタビュー]チェルシー・浜野まいかが日本人初のWSL王者に。女子サッカー最高峰の名将が授けた“勝者のメンタリティ”とは?
原動力になった思い「苦しいことは、数カ月後には学びになる」
――苦しい3カ月だったのですね。どんなことが逆境を乗り越える原動力になったのですか? 浜野:INACでプレーしていた時に、試合に出られない期間が長かった時は本当に苦しかったんですけど、一つのプレーで評価が変わることを痛いほど知りました。その後のU-20ワールドカップでは主力として出られたので、「もう絶対にベンチには戻りたくない」と思っていたんです。そのワールドカップで、INACで学んだことを教訓にできたので、「苦しいことは、数カ月後には学びになる」と思えるようになったのは大きかったです。 ――その成功体験が糧になっているんですね。チェルシーでのデビュー戦はうれしさもひとしおだったのでは? 浜野:そうですね。ただ、そのブリストル戦の前に、チェルシーレディースU-21で試合に出させてもらい、その復帰戦でロングシュートを決めることができたんです。その試合後に監督のエマ(・ヘイズ)がインタビューで、「マイカを次の試合でメンバーに入れるかもしれない」と言っていたらしいんですが、インタビューを見ていなくて(苦笑)。その時はまさかメンバー入りするとは思っていなかったので、前日移動の時に荷物を持って行っていなかったんです(苦笑)。 ――あららら……。なんとかなったんですか? 浜野:全部、借りて試合に出ました(笑)。デビューできたのはうれしかったです。 ――ただ、その後もコンスタントに出場できていたわけではなく、悔しさもあったと思います。出場機会を求めるために、またレンタル移籍というような選択肢はよぎらなかったですか? 浜野:それはなかったです。エマがチェルシーで指揮を執る最後のシーズンだと分かっていたから、「この人から学べることはすべて学びたい」と思っていたし、いつかチャンスあると信じて頑張っていました。試合ではベンチも含めて、20人が選ばれるんですが、誰がメンバー入りするか、前日のギリギリまで分からない試合もあるので、まずはメンバーに入れるように頑張ろうと思えました。 ――チェルシーでも苦しい時を乗り越えて、最後にタイトルが待っていたんですね。 浜野:そうですね。お腹が空いている時に食べるチョコレートがすごくおいしく感じるように、苦しい期間が長い時ほど、うれしいことがあった時に倍増するんだと、今回も学びました。