[インタビュー]チェルシー・浜野まいかが日本人初のWSL王者に。女子サッカー最高峰の名将が授けた“勝者のメンタリティ”とは?
女子サッカー最高峰のイングランド・女子スーパーリーグ(WSL)で、チェルシーFCウィメンが5連覇を達成した。強豪国のスウェーデンやアメリカ、カナダ、イングランド、ドイツ、フランス、オーストラリアなど、14カ国から代表選手が集まる常勝軍団で、20歳の浜野まいかは日本人選手初のWSLタイトルを掲げた。スウェーデンのハンマルビーIFへのレンタル移籍から復帰した今季は、ケガからのリハビリを乗り越え、6試合に出場して2ゴール。チェルシーを率いた13年間で11個のタイトルを獲得した名将エマ・ヘイズ監督が、浜野に授けた“勝者のメンタリティ”とは? (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真=REX/アフロ)
どん底からの逆転優勝「優勝にふさわしいチームだと思う」
――女子スーパーリーグ(WSL)優勝おめでとうございます。優勝後の金の紙吹雪に埋もれてチームメートと喜び合う姿が公式アカウントで拡散されていました。まず、タイトルを掲げた率直な思いを聞かせてください。 浜野:率直に、うれしい!という気持ちが一番でした。リバプールに負けて、「もう優勝は無理かもしれない」とチームがどん底に落ちたところから、その後に(優勝を争った)マンチェスター・シティの負けもあったり、何が起こるかわからないシーズンでした。自分自身は前半戦はケガで試合に関われなかったけど、戦いをずっと近くで見てきた中で、やっぱり優勝にふさわしいチームだなと心から思いました。 ――最終戦の一つ前のトッテナム戦で、浜野選手の決勝点が逆転優勝を後押ししました。ファーサイドから長い距離を走って決めたあのゴールを振り返ってもらえますか? 浜野:チェルシーは、攻撃面でも守備面でもやらないといけないことが本当に多くて、あのプレーもその一つでした。守備でやることも多かったので、攻撃に切り替わって、あの瞬間は本当にあそこに走りこむ時に「行かないと、行かないと!」という思いしかなくて。ロンドンダービーでしたし、前半から肉体的にも精神的にも結構きつくて、ちょっと呼吸が苦しくなるような感じだったんですが、決めることができて良かったです。 ――チームメートからはどんな声をかけられましたか? 浜野:みんなから、「自分が点を決めてチームを勝たせた初めての試合がトッテナム戦で良かったね」と言われました。ただ、自分が決めてうれしいというよりは、とりあえず「勝てて良かった」という安心感の方が本当に大きかったです。喜びたくても、息が上がっていたので喜べないのもありました(笑)。