レバノン人が語る、イスラエルの攻撃にさらされるレバノンの日常
■ 「生活のあるところに、命は栄える」 「生活のあるところに、命は栄えるのよ」と母は、この9月の終わり、私がレバノンを去る前の日に言いました。日常を生きるということ自体が抵抗の一つのかたち、そして祝いである、と言わんばかりに。 私はよくレバノンの状況、見た爆撃、聞こえた爆撃音、打ち倒した爆弾などについて教えてほしいと頼まれます。 でも、ここで私がみなさんに伝えたいのは、耳をそばだててもその声を聞くことが難しいレバノンの人々、決して知られることのないレバノンの市民たち、国境を越えようと奮闘する人々の話。すべての人々と命を祝うための、人間らしさを取り戻すための話です。 「生活のあるところに、命は栄える」。この言葉を日本のみなさんに伝えたいと思います。 Marita Matar(マリタ・マタール) パリを拠点とするレバノン人の人類学者、文筆家、アーティスト。 政治、身体、文化が交差した研究を行う。ポールダンスを通じた抵抗の探求をベースに、その多くが難民コミュニティや最前線の活動家アーティストとの関わりから生まれる。出版物の一つにミシガン大学ジャーナルダンス研究協会の協力による「有罪判決を受けた男の最後の日 – 私の自責の念」がある。 レバノンで現代言語と翻訳も学ぶ。 永末アコ(ながすえ・あこ) アーティスト/フリージャーナリスト。東京生まれ。1996年よりパリ在住。 セツモードセミナー在学中にフリーライターとして活動を始める。現在はパリ左岸に住み、フランスの社会、アートシーン、ライフスタイルなど、生のフランスを日本のメディアに向け取材執筆。光のオブジェ作家としてもフランスと日本で活動している。
永末 アコ