投資は決して「危険」でも「うまい話」でもない?金融のプロ「短期で儲けようとするのは投資ではなく投機です」
時間を味方につける「長期投資」は若いうちから始めるもので、50代からではもう遅いのではないか?と思う人が多いのが事実ですが、人生100年時代の昨今、むしろ生き方が定まってくる50代こそ投資適齢期だと、長期投資のプロフェッショナルである、さわかみ投信株式会社社長〈澤上龍氏〉は分析します。お金に上手に働いてもらいながら、生き生きと過ごすための一つの目安は「65歳でプラス3000万円」。初心者にもわかりやすく、長期投資の方法をまとめた一冊『50歳から成功する長期投資』からポイントを抜粋してお届けします。 【書影】50代こそが投資適齢期!今からでも遅くない長期投資とは?『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』 * * * * * * * ◆儲けばかり気になる「投機」、価値を高める「投資」 「投資なんて危ないからやめなさい」という言葉もよく耳にします。 また「投資の話」と言うと、 「世の中にうまい話があるわけがない」と反応されることもあります。 けれど、私たちに言わせれば、こうした言葉は「投資」と「投機」を完全に混同しているのです。 投資とは「社会的に役立っている」 「いい商品を作っている」と思う企業の株を持って株主となり、長期にわたって保有することです。 株を持つことが、企業を育て、商品やサービス、あるいは企業の文化を守ることにつながるのです。 多くの株主が長期保有することで、マネーゲームを目的とした買収などを避け、安定した経営ができるのです。 対して投機は、機会に乗じて短期的に大きな利益を得ようとする行為のことです。 当然、常に相場を見て、株を激しく売り買いすることになります。
◆「投機」で儲け続けることはプロでも難しい 株を安い時に買い、高い時に売れば当然儲もうかり、場合によっては莫大な金額を得ることができるかもしれません。 ただ、このような取引は博打のようなものですし、儲け続けることは投資のプロでもとても難しいものです。 プロが世界の経済状況を把握し、企業情報をつかみ、それでもうまくいくかわからない。 素人がまぐれで儲かることはあっても、安定して儲けるのは無理だと考えてください。 また、企業側から見ても投機的な株の売買は好ましくありません。 株価の乱高下は企業イメージを損ねますし、もし多くの株が、いわゆるハゲタカファンドのような集団に買われたとしたらどうなるでしょう。 そこまで極端ではなくても、秒単位で変わる株主にオーナー意識はまったくなく、儲けばかりに目が行きます。 すると企業側も自ずと短期での成績を求められるようになってしまうのです。
【関連記事】
- 物価上昇の今「貯蓄2000万」ではもはや老後を乗り切れない…金融のプロ提案<長寿時代の投資術>
- 5年後その100万円で同じ商品が買えますか?投資は「お金の置き場所」を考えることで「銀行にお金を預けっぱなし」は実質的に資産を減らす行為である
- 業界歴30年のプロ「企業を応援」と「投資」の紐づけに強い違和感。「社会にいい企業への投資がいいこと」といったマーケティングワードに惑わされるな
- 投資で最初に理解しておくべきはズバリ「やめ時」である。業界歴30年のプロ「増えること、増やすこと自体が目的になっていませんか?」
- 「資産運用を始めただけですごいことが起こる」との期待は誤り。業界歴30年のプロ「最も大事なのは投資するしないとか、何の投資信託を買うかでなく…」