「IR反対の嵐の中で生きてきたような感じ」横浜市長選、林文子氏が敗戦の弁
「IRを2年前に進めると記者会見してから、本当に反対の嵐の中で生きてきたような感じ」。22日に投開票された横浜市長選で、落選が伝えられた現職の林文子氏はこう振り返った。カジノを含む統合型リゾート(IR)推進を打ち出して4選を目指したが「IRはよく分からないという方にお伝えし切れなかった」と唇をかんだ。 【動画】林文子氏が敗戦の弁「IR反対の嵐の中で生きてきたような感じ」
横浜のIR誘致「これで終わりになったわけではない」
午後8時過ぎ、林氏落選の速報が伝えられた。林氏は支援者らが集まった選挙事務所で、まず「本当に今回の選挙戦でご支援いただいた経済界の皆さま、市民の皆さまには私自身が至らなく、このような結果になったことは心からお詫びを申し上げたい」と頭を下げた。 2年前の2019年8月、林市長は記者会見を開いてIR誘致を正式に表明した。3選を目指した2017年7月の市長選では、IR誘致は明言せず「白紙」と語って当選していた。「私が想像していたより、IRへの反対や懸念が多かったというのが実感。もう少し賛成の方がいらっしゃるのかと思っていた」。ただIR誘致を進めてきたことについては「間違ってなかった」ときっぱり語った。 「市民からIRをやってくださいと直接お声を聞くことがほとんどなかった」とも述べ、コロナ禍の影響で市民と意見交換できる場がなくなったことを残念がった。 一方で、選挙戦の手応えも口にした。天気に恵まれた終盤には市民と直接話をする機会ができ、若い世代から「市長負けるな。絶対投票に行きます」と声をかけられたという。「(IRが)横浜の将来にとって大切なんだと皆さんが共鳴してくださった」と感謝した。 今回の市長選ではIR反対を掲げる元横浜市立大教授の山中竹春氏の当選確実が伝えられている。ただ横浜のIR誘致は「決してこれで終わりになったわけではないと思う」との見方を示した。 国によるIR候補地の認定作業は来年春以降に始まり、最大で3つの自治体が選ばれることになっている。「1期目は3つの都市が選ばれるということだが、また2期というふうに続いていく可能性もある。その時にまた議論していただいて、またやろうということもあるのではないか」「ずばり統合型リゾートで、中身がちょっと変わってやるかもしれない」と期待した。 2009年の初当選以来、3期12年の市政を振り返り、横浜市の職員に対して「本当に素晴らしい働きをしていた」と労う場面もあった。