「合計身長369cm」の大型ユニットが10億円を被災地に寄付…「型破りな男」が生んだ「35年忘れられないフレーズ」
男性ファンを一気に吸引
――♪ギューーーーーン、ガガガガガッ・ガガガッ・ガガガガガッ・ガガガガガッ・ガガガッ・ガガガガガガッ 文字で書き下すとインパクトがありますが、実際の音はもっとインパクトがありました。 コンパクトディスク(CD)という、当時最先端のメディア、キラキラとした円盤から流れてきたことも、インパクトをさらに倍増する。 1989年4月26日発売、吉川晃司と布袋寅泰と新ユニット「COMPLEX」のデビューアルバム『COMPLEX』を初めて聴いたときの驚きの話をしています。 買いたてのCDプレーヤーから、#1『PRETTY DOLL』の「♪ギューーーーーン」というイントロが流れてきたときのあの驚き、あのインパクトは、35年前、平成最初の春に、あのアルバムを聴いた人にしか分からないでしょう。 私にとっては、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』を初めて聴いたときに匹敵するインパクトでした。 もちろんすぐにファンになりました。女性ファンが大勢を占めていたソロ時代に対して、COMPLEXは、私のような男性ファンを一気に吸引したのです。
1日たりとも忘れないフレーズ
曲で言えば、一般的にはアルバム#8の『BE MY BABY』や#3『恋をとめないで』で語られる彼らですが、個人的なベストテイクは#10『RAMBLING MAN』。作詞はもちろん吉川晃司自身。 ――♪走り出さなきゃ始まらない そんなペースじゃ意味がない YOU'RE JUST A RAMBLING MAN やりたいようにやれよ まるでその後の吉川晃司の「型破り」生き方を宣言しているような歌い出しです。そして、 ――♪たかがおまえの事なんて 世の中誰も知りやしない YOU'RE JUST A RAMBLING MAN 思い知らせてやれよ 当時のクヨクヨしていた私を焚き付けたこのフレーズは、恥ずかしながら白状すれば、あれから35年、1日たりとも忘れたことのないものです。 また、布袋寅泰のラウドなギターと張り合うことも奏功したのでしょう。もう佐野元春の「型」を飛び越え、声がグッと前に出てきて、かつ、吉川晃司ならではの、粘着的なのに湿度が低くカラッとしている(妙な表現ですが、まさにそんな感じ)、独自のボーカルスタイルを確立したのでした。 そしてたった2枚のシングル、2枚のアルバムを残して、翌1990年にさっさと解散。そのスピード感もまた「型破り」。 1990年11月8日に東京ドームで行われた解散コンサートには、私も駆け付けました。デカイデカイ東京ドームにそびえ立つデカイデカイ182cm+187cm=369cm。 アンコールの『RAMBLING MAN』には、全身が震えたものでした。このときの様子を今映像で見ても、冒頭でクネクネと動く吉川晃司を見るだけで、クヨクヨしていた23歳の頃に気持ちが戻ってしまいます。