癌になる確率、"2人に1人"へ。都市暮らし、運動不足、喫煙、飲酒、「あてはまる」人は要注意か
日本人の2人に1人が生涯で「がん」と診断される。その数字は想像以上に多い。私たちはどのようにがんと向き合っていくべきだろうか。他人事ではない、まずは身につけておきたい基礎知識から。 【写真】がん予防に直結するヒント!栄養士が「絶対に食べない」11のものをアンケート 話を伺った人… 勝俣範之(NORIYUKI KATSUMATA):腫瘍内科医。日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長。国立がんセンター医長などを経て、現職に。著書に『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』(ダイヤモンド社)、『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)など。
日本人の男性65.5%、女性51.2%が「がんと診断」
「がんの疑いがあります」と告知されたら、もしくは「がんである」と診断されたら、あなたはどう思うだろう。不安や恐怖で呆然とするかもしれない。しかし、カミングアウトする、しないにかかわらず、がんに罹患した経験のある人は想像以上に多い。あなたの周りにも働きながらがん治療を続け、日常生活を続けている人がきっといるはずだ。 「2019年に新たにがんと診断された人は、男女合わせて99万9075人、日本人で一生のうちにがんにかかる人は、男性が65.5%、女性が51.2%。およそ2人に1人ががんに罹患しているのです。そう考えると、決して珍しい病気ではなく、“私はかからない”とは言い切れません。」というのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之医師だ。 「ですが、映画やドラマなどでは相変わらず“がん=不治の病”という描き方です。著名人ががんになると、怖さや不安感をあおる伝え方をしているメディアも少なくありません。こういったものが、がんの正しい情報を妨げていると感じています。がん治療はここ10年で大きく飛躍しています。生存率も上昇し、仕事と並行して治療を行う形が多い。“がんと共存する時代”なのです」(勝俣医師)。 実際にがんの5年生存率(5年相対生存率)は、ほとんどのがんで向上し、男女合わせて64.1%。6割以上の人が5年後も生存している。 「厚生労働省などの調査によると、がんを経験した通称“がんサバイバー”と呼ばれる方は全国に500万人以上います。生存率上昇には、2007年の国によるがん基本対策法改正後、抗がん剤のドラッグ・ラグが解消されて、約40種類もの新薬の承認が進んだことも背景としてあります。以前は治りにくいと言われたがん種も治癒に持っていけるものも出てきています。人は、必要以上に怖がると、効果がない“トンデモ医療”に騙されてしまうこともあります。だからこそ、がん情報を更新し、正しく知ってほしいと思うのです」(勝俣医師)