20年ぶりに両手投げ投手がメジャー登場!「実力で昇格」
“史上初のスイッチピッチャー“がついに念願のメジャーデビューを果たした。打者によって右と左、両方の腕で投げ分ける”両投げ投手“として注目のアスレチックスのパット・ベンディット投手(29)が5日(日本時間6日)、傘下の3Aネブラスカからメジャー昇格。フェンウェイパークでのレッドソックス戦の2-4で迎えた七回から2回を投げて1被安打無失点だった。 「大好きな野球を続けて、何とかメジャーリーガーになりたいと思ってやってきた。7年間マイナーで過ごして、長い旅路だったけど、ようやく待ち焦がれたこの日が来た。今日は色々な感情が入り乱れたクレイジーな1日になった」 日本ハムの大谷翔平(20)が、投げて打つ“二刀流”なら、こちらは“両刀流”か。本来は右利きだが、幼少期より左右を同等に使うことに注目した父パット・シニア氏が、アスリートとして体の両側を鍛えるべきという方針を持ち、3歳から左でも投げ始め、リトルリーグ時代から両投げ投手としてプレーしていた。まるで漫画の世界。右打者が打席に入ると左手にグラブをつけて右腕で投げ、左打者が打席に入ると左腕で投げる。使用グラブはポケットが真ん中にあり、左右の両端に親指が入る六本指の特注(ミズノ製)だ。大学から08年にヤンキースにドラフト20巡目で指名され、傘下のマイナー球団で7年間プレー。昨年オフ、アスレチックスとマイナー契約し、春季キャンプに招待参加。3Aナシュビルでは17試合に登板(1試合で先発)して1勝0敗、防御率は1・36だった。 類稀な両投げ投手だが、メジャーの歴史を紐解けば、1800年代に4人の投手が左右両方で投げた記録がある。近代メジャーでは、エクスポスの右腕グレッグ・ハリスが現役最終年となった1995年の9月28日のレッズ戦で2人の右打者に対して左手で投げたのが、メジャー史上初のスイッチ投げが記録された試合だった。実は、日本でも両投げ投手の近田豊年(南海)が1988年に左投手として1試合に救援登板している。とはいえ「1度だけ左でも投げた」ハリスに対して、ベンディットは「常時、両投げ」。昇格を発表する公式のプレスリリースではRHP(右投げ)でもなく、LHP(左投げ)でもなく、SHP(スイッチ投げ?)となっていたし、この日の公式メンバー表では救援投手の欄にスイッチとして入った。そういう意味では、メジャー史上初の“公認両投げ投手”の誕生と言えるだろう。