20年ぶりに両手投げ投手がメジャー登場!「実力で昇格」
前例のない投球スタイルは、メジャーに新ルールも発足させたほど。08年6月19日、マイナーでのプロデビュー戦でスイッチヒッターを打席に迎え、「Wスイッチ対決」が実現した際、打者がベンディットの構えを見ながら、交互に左右の打席を出たり入ったりして試合が5分以上滞る状態になったため、「投手が先にどちらで投げるかを示す」というルール8・01条が定められ、今では通称ベンディットルールと呼ばれている。 「周囲からは好奇の目で見られることが多いけれど、彼がメジャーに昇格したのは、物珍しいからではない。マイナーのパフォーマンスが評価されたんだ。昇格は彼に相応しい」とメルビン監督は救援投手として期待。さっそく回またぎの2イニング登板を託した。相手のレッドソックス・ファレル監督も「極めてユニークな投手。1本の腕で投げることをマスターするだけでも大変なのに、両方の腕でやるなんてすごいことだし、本当にアメイジングだった。こういう投手がメジャーで投げるのは、クールなことだ」と敬意を表した。 3Aの本拠地ナシュビルからNY経由での移動便が遅れ、試合前の練習には間に合わなかったものの、試合開始直前に球場入り。背番号「29」のユニフォームを身につけた。ブルペンでは若干右を多めに左右両方でウォームアップ。マウンドで与えられる8球の投球練習は右で4球、左で4球投げた。先頭の左打者ホルトは左で投げて一ゴロ。回をまたいで4人続いた右打者に右投げで対峙した後、最後の打者は、両打ちのスワイハート。最初、スワイハートは右打席に入りかけたが、ベンディットは右投げを球審に宣言し、スワイハートは左打ち用のヘルメットに変更。カウント2-2から最後はスライダーで空振り三振を奪った 「去年スワイハートと2Aで対戦した時は左で投げた。今日はベンチの指示で右投げだったので理由は分からない。彼の左右の打率のデータがあったのかもしれないし、グリーンモンスターを考慮したのかもしれない」とベンディットは語った。 左対左、右対右の有利さを利用するのが基本だが、スイッチに関しては、データや状況で相手に有利な打席に立たせない効果もあるようだ。マウンドでコロコロ向きを変える投手はまず一般に見慣れないし、ジグザグ打線の場合はネクストバッターサークルで準備する次の打者がタイミングを測って素振りすることも不可能で、そのユニークさが改めて際立った。この日は右では直球88マイル(142キロ)をマーク、左では83マイル(134キロ)。スライダーとチェンジアップも披露した。 「今日は試合前のキャッチボールをする時間もなかったけれど、十分にアドレナリンが出ていたので、平気だったよ。何とかチームに貢献できるように、頑張りたい」と両投げ投手。メジャーの歴史の中でも前人未到のチャレンジが始まった。