部下を評価するときの3つの心得。「公平な評価」が不要な理由とは
2.評価者が排除するべきなのは「座高検査」
人材を排除していく思考は無用ですが、私たち評価者は排除していかなければならないモノがあります。僕はそれを“組織内の「座高検査」さがし”と言っています。 ご存じのように、戦前から約80年間、日本の学校では健康診断で座高検査が行われていましたが、文部科学省は「測ってもあまり意味がない」として廃止しました。 これと同じように、その組織では当たり前のチェックリストが、よくよく考えると、ただの組織風土ってことも大いにありえます。 例えば僕の授業では、前述した「ネタのみの評価」の廃止を吉本さんに直訴し、ネタ以外のストロングポイントを持つ生徒を集めたクラスをつくっていただきました。 このとき、ただ廃止を求めるのではなく、他事務所の女性芸人(イモトアヤコさん、やす子さん、丸山礼さんなど)が、ネタだけではない人間力でブレイクしている点など、エビデンスをしっかり伝えたことも重要だったと思います。 最近、そのクラスにいた77歳のピン芸人・おばあちゃん(芸名)が書籍を出版するなどメディアでも話題になっているので、あのときの判断は正しかったと感じています。
3.評価者は「指示」でなく「開示」で導け
最後に、僕が実践してきた“評価者でありながら部下を育成していくコツ”を1つシェアします。 みなさんは、「評価を上げたい」と思っている部下に対して、どうやってアドバイスをしていますか? 「もっとこうすべき」や「こうしなさい」といった“指示になっている”ということはありませんか? 評価者が「指示口調」になると、それをどう打ち返してくるか? だけの「成果」に捕らわれ、自家発電の「変化」は生まれません。 大切なのは、「これについてどう思う?」「君ならどうする?」といった“質問口調によって自分を「開示」してもらう”こと。 指示でなく開示を念頭に置いて接していくことで、彼らの変化率、成長率が変わってくるんですね。 ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。 桝本 壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。
COMPOSITION=古澤誠一郎 TEXT=桝本壮志