大混乱を招いた併殺判定問題はヤクルトへの謝罪と“元阪神”の当該審判への“甘い”口頭厳重注意だけで済まされる問題なのか
与田監督からリクエストを要求され、リプレー検証を行っている最中に、審判団内でどんな話し合いが行われていたのだろうか。二塁塁審だった嶋田審判に「なぜアウトコールをしなかったのか?」の確認はしていたのだろうか。もし、ここで嶋田審判が、正直に「パニック(混乱)となり打者走者をアウトだと勘違いしていた」と語っていれば、抗議に来た高津監督への説明の仕方も、ファンへの場内アナウンスも違っていただろう。 公認野球規則の「審判員の裁定」の項には、「審判員が、その裁定に対してアピールを受けた場合は、最終の裁定を下すにあたって、他の審判員の意見を求めることはできる。裁定を下した審判員から相談を受けた場合を除いて、審判員は、他の審判員の裁定に対して批評を加えたり変更を求めたり異議を唱えたりすることは許されない。審判員が協議して先に下した裁定を変更する場合、審判員は、走者をどこまで進めるかを含め、すべての処置をする権限を有する」とある。 ただ「審判が二塁アウトのジャッジをしていれば本塁突入はしなかった」の“推定セーフ”を採用して本塁タッチアウトを取り消し、二死一、三塁から試合を再開するのには無理がある。アウトのコールはなかったが、フォースアウトは成立していたのだ。試合を再開すれば中日側が黙っていない。 人が裁くのだからミスは起きる。だが、その後の対応に問題は残った。 “球界大御所”の元ヤクルト監督でもある広岡達朗氏は、「つきつめれば、プロ野球のコミッショナーにしっかりとした見識とリーダシップがないから審判団の考えられないミスなども起きる」と、常日頃から訴えていた。審判員の人数が限られており、ベテラン審判員を業務停止にすれば、業務が回らなくなる事情があるのかもしれないが、セ・リーグと審判団は、信頼を取り戻すためにも今回の問題を謝罪と“極甘”の口頭の厳重注意だけで済ませるのではなく、嶋田審判の審判員としての資格能力の再検討を含め、ヤクルト、高津監督、そしてファンも納得のいく“ガラス張り”の総括を行い、その内容をオフィシャルに示さねばならないだろう。 大混乱の併殺判定問題で喫した敗戦の尾を引きたくないヤクルトは14日、神宮球場で行われた阪神戦で、9回まで4ー1でリードしていたが、その勝ちゲームをマルテの3ランで追いつかれ「負けに等しい」引き分けに終わっている。