リヴァプール元主将が語る30年ぶりのリーグ制覇。「僕がトロフィーを空高く掲げ、チームが勝利の雄叫びを上げた」
僕がトロフィーを空高く掲げ、チームが勝利の雄叫びを上げた
監督の指示に従い、できるかぎりの行動とプレーをしてきた。だがそれは、ほかのみんながいたからこそできたことだ。だからシーズンの終わりに、僕がFWA年間最優秀選手賞に選ばれたのはまったく意外だった。衝撃を受け、謙虚な気持ちになった。これはとりわけ、過去の受賞者として並ぶ偉大な選手たちを見ると、大きな栄誉だ。 コップ・スタンドに授与式のために特別に設置された舞台に上った。クラブのエンブレムが描かれたマスクをつけて、ケニーが立っていた。彼は僕を見るとハグをして、僕を誇りに思うと言ってくれた。それからプレミアリーグの最高経営責任者、リチャード・マスターズからメダルを手渡され、その当時のやりかたに従って、自分で首から下げた。それから台座に置かれたトロフィーを持ち、選手たちが待っている舞台に乗った。 ボビー(フィルミーノ)はクールなサングラスをかけ、フィルジルは両手を空に上げて感謝している。ロボは足踏みをし、サディオとカーティス・ジョーンズ、ナビ(ケイタ)はそれを自分のスマホで撮影している。モーは首から旗を下げ、ディヴ(ディヴォック・オリギ)は髪を銀色に染め、ミリーは笑い、ユルゲンは黒いベースボールキャップを逆さにかぶり、後ろのほうにいる。 こうしてコップ・スタンドに勢揃いしていることが、信じられないほど感動的なことに思えた。ファンの思いが感じられるようだった。現在のファンだけでなく、すでに亡くなったファンの思いも。長い年月のあいだにコップ・スタンドで応援した人、テラス席に立った人も席にすわった人もすべて。 「ユール・ネバー・ウォーク・アローン」を聞いた全員。土曜の午後や水曜の晩に無数のスカーフが高く掲げられるのを見た全員――そのひとり残らずが、僕がトロフィーを空高く掲げ、チームが勝利の雄叫びを上げたあの瞬間を分かちあった。僕はサンダーランドから、いつの日かリーグ優勝したいと願ってリヴァプールにやって来た。その思いはいま、現実になった。 (本記事は東洋館出版社刊の書籍『CAPTAIN ジョーダン・ヘンダーソン自伝』から一部転載) <了>