「坂道発進」「半クラ」、AT限定解除試験とマニュアル免許の意味
1991年の制度新設以来、「AT限定免許」を取得する人の割合は年々増加し、現在では新規取得者の約7割がAT限定免許を選択しています。乗用車のほとんどがAT車である現状、MT免許を「無用の長物」と考える人は多いのかもしれません。 一方で、一度AT限定免許を取得しても、後になってからMT免許へと限定解除する人も見られます。AT限定を解除する人は、一体どんな理由で切り替えているのでしょうか。解除する際の苦労やその後のお話を含め、AT限定を解除したドライバーに話を聞きました。 ■苦労して解除、実際に乗ったのは数回だったけど… AT限定を解除する理由として、「パートナーの車がMTだった」というケースが考えられます。今回のインタビューにおいても、結婚相手がMT車に乗っていたことから、限定解除に踏み切ったという方がいました。 「夫が昔から車好きで、付き合いはじめた頃にもMTのスポーツカーに乗っていました。結婚するにあたり、私も彼の車を運転できた方がいいということで、すぐに限定解除したんですよね。趣味をある程度大事にすることも、長い結婚生活では重要かなって。 限定解除は所定の時間内でできたんですけど、やっぱり大変でしたね。クラッチの操作も正直覚束ないままでしたし……。あと、予想外に苦労したのが、色んな確認作業を思い出すことでした。 乗車前の確認や、乗ってからエンジンをかけるまでの手順、運転中も踏切でちょっと窓を開けるとか……。一度習慣になってしまっているものなので、試験のためにおさらいするのは結構しんどかったですね。 でも、結婚して1年ほどで子どもができて、スライドドアの車に乗り換えたので、実際に夫のMT車を運転したのは3回か4回くらい。あんまり意味はなかったかなと思いつつ、夫はいつかまたMT車に乗りたいと考えているようなので、そのときまた活かせればいいかなって。 年齢を重ねて、子どもを育てながらだと限定解除も大変だと思いますし、あのタイミングで解除しておいたのは間違っていなかったと思います」(30代女性) このように、「配偶者がMT車に乗っているから」という理由で限定を解除する人は一定数いると考えられます。解除の際にはMTの操作を覚える必要があるほか、「運転免許試験の注意点」を思い出さなくてはならず、相応の負担が生じるようです。 ただ、さまざまな苦労にもかかわらず解除に踏み切る姿勢には、パートナーに対する思いやりが感じられますね。