「鉄道テロで飛行機が10万円超」「プレスセンター、しょぼい」取材記者が明かす“トラブル続出”パリ五輪取材ウラ話「でも治安は意外と…」
じつは鉄道トラブルよりツラかったこととは
そんな数々の不可抗力のトラブルに振り回されたパリ五輪だった。だが、なによりも辛かったのは、フランスの暑さだ。 日中は30度を超えることもあったが、日本の猛暑に比べれば暑さ自体は大したことはない。だが、私が選択したほとんどの宿泊先に冷房がなかったのだ。長期間取材の場合、ホテルよりも民泊もしくはアパートメントスタイルのホテルを選択する。洗濯と冷蔵庫、最小限のキッチンを備えている利便性が、ホテルよりも重要なためだ。だが“フランスでのエアコン普及率は? ”とAIに尋ねてみるとだいたい1、2割だそうで、ほとんどの民泊にはエアコンはついていないのだ。部屋の中で一番涼しい場所を探し、床に座り込んで作業した。疲労は蓄積し、体力は削られていった。 そんな様々なトラブルもチームが勝利さえしてしまえば辛くもなんともないのだが――大岩ジャパンはどうにかたどり着いたリヨンでスペインに敗れ、疲労は倍増した。負けた後の取材は、案外気が重いものなのだ。翌日にはなでしこジャパンもアメリカに敗れ、日本サッカーのパリ五輪は終了。あっけない終幕だった。
パリのプレスセンター…しょぼい
男女の日本代表が敗れた後、ようやく落ち着いてパリのメインプレスセンター(MPC)を訪れることができた。スタジアムからスタジアムへのドサ回り、渡り鳥生活は終わり。日本代表はいないが、数日間パリにとどまることができる。だが、このMPCがシンプル、簡素、言葉を選ばず表現するなら……しょぼかった。 過去に取材した五輪のMPCは、作業に追われる記者たちのために美容室やジム、シャワールーム、クリーニング店、郵便局などが併設されていた。仮にMPC内で徹夜しても問題ないほどだったが、今回はその手のサービスは一切なし。今回のMPCは街中の便利な場所に作られたため、実際に必要はなく、さらにSDGsをうたった大会でもあったため、極力余分なサービスを削ったということだろうが、やや寂しさを覚えてしまった。 パリの印象は、人が少なかったという点に尽きる。 警備員や警官が多数街に出ており物々しい雰囲気こそあったものの、意外にも人が少なく地下鉄やトラムなども快適で、治安の悪さも感じなかった。2016年の欧州選手権でも1カ月滞在したが、その時ほどは街が盛り上がっている感覚もなかった。 パリ市民は五輪の混雑を避けるためにパリを脱出していると聞いていたが、観光客もパリを避けたのかもしれない。パリのいわゆる名所はだいたい試合会場になっており、普通に観光したい人にとっては行動が制限されたことも理由なのかもしれない。だが逆に試合中継はどれも映えており、映像映えを強く意識した会場作りが窺えた。かといってその付近が身動きひとつできないほどの混雑というわけでもなく、拍子抜けした。
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