「青木率」でみる安倍内閣 まだ安泰? 改憲と解散のジレンマ
安倍内閣に当てはめてみると……
第2次以降の安倍政権に着目すると、従来の内閣と比べて現在の安倍内閣は相対的に高い青木率を維持していることがわかる。長期政権を維持した小泉内閣と似たパターンを辿(たど)っている。したがって、最近「支持率低迷」が喧伝されたものの、青木率から見る限り、安倍内閣がすぐに退陣するような事態ではないといえる。 とはいえ、安倍政権がこれまでと同様に安泰であると見ることも難しい。グラフでも分かるように、青木率は今回の内閣改造後にやや盛り返したとはいえ、このまま上昇傾向が続くとの保証はない。しかも、冒頭に引用した直近の世論調査によれば、いまだに内閣不支持率が支持率を上回っている。具体的には、読売新聞では支持率42%に対して不支持率48%、朝日新聞ではそれぞれ35%と45%、日本経済新聞社とテレビ東京では42%と49%である。
「改憲と解散」崩れたシナリオ
安倍首相が執心する憲法改正と、来年12月に任期満了となる衆院の解散との関係も難題である。これまでは、来年の通常国会で憲法改正案を発議し、9月の自民党総裁選での安倍総裁3選を経て、12月までに改憲の国民投票と衆院選を同時実施するというシナリオが有力であった。 しかし、都議選での自民党大敗からこのシナリオが乱れ始めた。支持率の低迷傾向が続くとすると、任期満了直前の解散は「追い込まれ解散」となってしまい大敗するおそれがある。そのため、今年中に衆院が解散されるとの見通しも強まってきた。特に、10月には衆院青森4区と愛媛3区の補欠選挙が行われる予定であるが、野党陣営は共闘で臨む態勢である。このダブル補選にあわせて解散が行われるという観測も出てきている。 先日は小池百合子都知事側近の若狭勝衆院議員が政治団体「日本ファーストの会」を立ち上げた。民進党を離党した細野豪志議員とも接近し、新党結成も視野に入っているようである。早期解散には、新党の準備が整う前に解散を打って機先を制する狙いもある。