石田ゆり子がモネの睡蓮を巡る、パリのマルモッタン・モネ美術館とジヴェルニーの庭園の旅。
●〈睡蓮〉の連作に浸る、マルモッタン・モネ美術館へ。
国立西洋美術館で開催中の展覧会「モネ 睡蓮のとき」のアンバサダーを務める石田ゆり子さんが今年6月、展覧会に数多くのモネ作品を貸し出したパリのマルモッタン・モネ美術館と、モネの終の住処であるジヴェルニーの家と庭園を訪ねました。『カーサ ブルータス』2024年11月号では未掲載の写真も追加して、その様子を紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 クロード・モネ[1840-1926]は晩年、睡蓮を中心とする水の景色をテーマに約300点を描いたが、そのうち約50点を〈マルモッタン・モネ美術館〉が所蔵している。地下中央の楕円形のスペースには、石田さんお目当ての睡蓮、それも2mに及ぶ大型作品がずらりと並んでいた。 「19歳の時、パリの〈オランジュリー美術館〉で初めてモネの睡蓮を見て感動しました。それ以来、国内外でモネの絵を見てきましたが、ここに来るのは初めて。家族的な温かみも感じるモネの作品には、元個人邸だったこの美術館の雰囲気がぴったりで、ため息が出るほどじっくり堪能しました」(石田さん)
モネが60歳近くから亡くなる寸前まで追い求めたモチーフが睡蓮だった。43歳で移り住んだノルマンディー地方ジヴェルニーの家の庭に睡蓮の浮かぶ池を造り、早朝から日没まで変わりゆく一瞬の光に照らされた水面と周囲の景色を絵筆で捉え続けた。その飽くなき執着が、無数のバリエーションを生んだのだ。
「睡蓮だけでなく積みわらやルーアン大聖堂など、同じ主題を何枚も描き続け、突き詰めていくモネの姿勢が好きです。本当に描きたいものだけを描き続ける純粋な気持ちが素敵だなぁと感じます」(石田さん)
石田さんが訪問した際に展示されていた作品は1点を除いて〈国立西洋美術館〉で開催中の「モネ 睡蓮のとき」に貸し出された。
マルモッタン・モネ美術館 Musée Marmottan Monet 美術愛好家ポール・マルモッタンが美術アカデミーに遺贈した個人邸宅が美術館となり1934年に開館。当初は新古典主義や古い時代の調度品などを中心としたが、のちにコレクターからの寄贈に多くの印象派絵画が含まれた。モネの《印象、日の出》ほかマネ、ルノワール、モリゾ、カイユボットなどの作品が充実。●2 Rue Louis Boilly, 75016 Paris TEL +33-1-44-96-50-33 10時~18時(木曜~21時)。月曜休。公式サイト