日比野菜緒、望月慎太郎、柴原瑛菜が全米OP予選2回戦突破!異なる道を歩む3人が本戦出場へ王手をかける<SMASH>
「最後は、勝ちたい気持ちでしたね……」 勝因を問う声に、日比野菜緒(世界157位)は、自分に問いかけるように応えた。 【画像】全仏オープン男子シングルスに出場した望月慎太郎ら日本人選手たちを特集 今季最後のテニス四大大会「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク)予選の2回戦。対戦したクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス/232位)は、苦手意識を抱く相手だったという。過去の戦績は1勝4敗。ただその勝利は、相手の棄権によるものだ。ムラデノビッチは、シングルス元トップ10、ダブルスは1位のオールラウンダー。 「スライスを打ってもスライスで返されるし、ボレーも上手。ポイントの取り方が見えない選手」 それが、31歳のベテランに対して日比野が抱く印象だった。 第1セットはその相手から、日比野が6-4でセット奪取。緩急を織り交ぜ、軽快にポイントを重ねているように見えた。 だが本人の中では、そこまでの心地よさはなかったという。第2セットに入ると、日比野のバリエーションに対応し始めたムラデノビッチを攻略しきれず、3-6で失った。 ファイナルセットは、一進一退。先にブレークを奪われるも、その度に食らい付いた。思い描いた戦略を、描き切れたとは言えない。それでも泥臭く、勝ちにこだわり、最後は6-4で競り勝った。 「テニスそのものは良い」の手応えを、日比野はここ数カ月、常に感じてきたという。4月に日本で開催された「ビリー・ジーン・キング・カップ」(女子国別対抗戦)で、ユリア・プチンツェワ(カザフスタン/大会時50位/現31位)相手に大歓声のなか勝利した高揚感も、まだ記憶に残っている。 ただテニスが悪くないぶん、勝利への執着が薄れている自分に気が付いた。 「負けても、良いプレーができていると思っていた。どこかでそれを、言い訳にしていた」 だから今回は、プレーの良し悪し以上に、勝ちにこだわることにした。攻略法の見えない相手からもぎ取った勝ち星は、考え方の勝利だった。 「ランキングを気にせず、自分に期待しすぎずに」――勝利後にそう言ったのは、望月慎太郎(115位)だ。ジュニア時代からよく知るローマン・アンドレス・ブルチャガ(アルゼンチン/124位)に、6-3、6-2で勝利。スコアは快勝に見えるが、本人に心地よさはなかったという。強風の中、「思うような展開にならなかった」がため、苛立ちも隠せなかった。 ただ相手に目を向けた時、向こうも同じようにもがいている様子が見える。 「自分だけじゃない」と思えたら、少し気持ちが落ち着いた。 今季は「全仏オープン」(フランス・パリ/四大大会)で予選を突破し、本戦初戦ではトップ10のフベルト・フルカチュ(ボーランド/大会時8位/現7位)相手にフルセットの熱戦を演じる。ただ以降は、チャレンジャー大会でも早期敗退が続いた。 相手に応じ戦略を講ずる望月のプレースタイルは、本人いわく、「負けることは簡単にできるが、勝つのは大変なテニス」。 だからこそ結果に一喜一憂するのではなく、自分らしいテニスの完遂を目指す。