「ポスト菅野」狙いではなかった「阿部巨人」のドラフト戦略…上位指名3人を“内野手”が占める深謀遠慮
偏重ドラフトの狙いは?
今年のドラフト会議で巨人は、上位3人を内野手指名した。今オフ、15勝3敗で最多勝のタイトルを獲得したエース・菅野智之(35)のメジャーリーグ再挑戦が確実と見られ、「貯金12」を一人で稼いだ先発投手の喪失は大きな痛手だ。そのため、ドラフト会議では先発ローテーションの一角を任せられる即戦力投手を獲得するものだと他球団やNPB関係者は予想していた。 【写真を見る】巨人・期待のドラ1と、迎え入れるベテラン選手たち
しかし、阿部慎之助監督(45)が選択したのは「内野手層のレベルアップ」だった。 「最初に1位入札した金丸夢斗(21=中日)の抽選に外れた際、即戦力の投手を再入札すると思ったら、高校生内野手の石塚裕惺(18=花咲徳栄高)を指名した。昨年のドラフトでは高校生の指名はありません。2位についても、石塚とショートのポジションで被る浦田俊輔(22=九産大)を獲り、予想とは全く違う結果となりました」(スポーツ紙記者) さらに、3位の荒巻悠(21=上武大)がリーグ戦で守ってきたポジションは、主にサードとファーストだ。昨年8月の巨人三軍との練習試合では「2番・二塁」で出場しているものの、普段のポジションを見ると三塁・坂本勇人(35)、一塁・岡本和真(28)と被ってしまうのだが……。 ドラフト会議終了後、記者団に囲まれた水野雄仁スカウト部長(59)は、 「満足しています。ある程度、狙った通りにいけた」 と“勝ち名乗り”を挙げていたが、チーム関係者の一人がこう続ける。 「スカウト会議に時間を掛けた結果です。金丸投手は欲しかったけど、他球団の1位入札を徹底的に分析し、石塚の1回目での入札はないと判断しました。『金丸が獲れなかったら、石塚』の方向性が決まり、次に話し合ったのが投手です。前評判の高かった大学・高校生と、現ファームの若手投手を比較し、“ポスト菅野”に固執しなくてもよい、との結論に至りました。荒巻に関しては、阿部監督が能力を高く評価していました」 荒巻は「打撃フォームが、今季、国内FA権を取得した大城(卓三=31)に似ている」(ライバル球団スタッフ)という。来季へ向けて巨人は今後、「新外国人投手を獲る」、「国内FAで投手を補強する」などの情報も交錯しているが、ドラフト会議場で、球団関係者が気になる発言をしていた。 「外野もできるから」 これは、上位3人を内野手指名したことに対しての答えだ。この関係者はそれ以上のコメントはしなかったが、状況次第では2位の浦田か3位の荒巻を「外野」でスタメン起用するという意味だろうか。