東京五輪ボクシング危機にプロアマ歴史的握手もプロ五輪参加は女子以外無理?!
ボクシングの日本ボクシング連盟と、日本プロボクシング協会のプロアマ協議会が20日、都内の後楽園飯店で、プロアマの両会長及び幹部が出席して行われた。“ドン”山根明・ボクシング連盟前会長が退陣して実現した歴史的なプロアマの初顔合わせ。ジュニア世代での大会の統一化や除外危機にある東京五輪での競技存続に向けての共同声明、署名集めを行うことなどで断絶状態にあった両者が協力体制を構築していくことが確認された。アマ側がプロ解禁を認めた東京五輪のプロ参加問題については来年3月の国内選考会までに両者の擦り合わせが間に合いそうになく、見送られる方向。ただ女子に関してだけはギリギリまで調整が行われる予定で可能性は残った。
「歴史的な一日。素晴らしい一日になった」 ワタナベジム会長でプロ側のジムを束ねる日本プロボクシング協会の渡邊均会長は、興奮気味に言った。 元WBA世界スーパーライト級王者で、協会副会長の平仲明信氏も「プロアマがひとつになることで子供達に夢を与えたい」と力説。 “ドン”山根前会長に代わり、アマ側の新トップとなった内田貞信会長も、「プロアマ関係なくボクシングという大きな枠で協力していこうと合意しました」と笑顔で握手した。 プロ側の選手引き抜き問題などが発端となりプロアマの関係は長らく断絶していた。山根体制となり、なおさらプロアマに一線が引かれるようになり、有力選手がプロ転向する際、協力金という名の“転向料”までアマ側に払わねばならないなど、歪な関係が続いていた。つい先日、アマ登録を認められたミニマム級の元世界4団体王者である高山勝成も五輪挑戦を訴えてきたが、門前払いが続いていた。 だが、アマ側の体制が変わったことで、重い扉が開き、プロ側11人、アマ側10人、そしてオブザーバーとしてJBC(日本ボクシングコミッション)の安河内剛事務局長も参加して、歴史的な雪解け会議が行われたのである。 話し合われたのは以下の4点。 (1)プロアマそれぞれで開催されているU-15世代大会の将来的な統合や、プロ側大会参加者のアマ資格を奪わないことなどの確認(2)プロの五輪参加問題(3)アマ規則、プロルールの相互確認及び周知(4)その他のプロアマ協力体制の構築 焦点のひとつが、「AIBA(国際ボクシング協会)の方針に従う」( 戸田裕典・顧問、広報担当)としたプロの五輪参加問題だ。AIBAはリオ五輪からプロを解禁したが、連盟は、山根前会長の独断で、その方針に従ってこなかった。新体制は、一転、プロ解禁の考えだが、この日、プロ側の渡邊会長は「慎重に対応したい」とコメントした。世界王者クラスなどプロのトップレベルボクサーの五輪参加については否定的な声が強く、「引退選手ならば」という姿勢。 WBCやIBFなどのプロの主要団体や世界のローカルコミッションの多くが安全性などを考慮してプロの五輪参加を事実上禁止している。 だが、女子選手に関しては、五輪にこだわりを持っている選手が多く、その競技性もプロとアマで大きな差もないことから、安全性や対応に対しても問題がないのではないか、という意見も出ている。 しかし、五輪の国内選考が来年3月から本格化するため「日程的に考えると(プロ参加は)厳しい」(戸田広報)と、参加基準などの規約化や、意見の集約の手続きを考慮すると事実上、時間切れで東京五輪についてはプロ参加が見送られる可能性が高くなった。ただ前出したように女子についてはギリギリの調整が行われる予定で、プロの五輪参加解禁が、もしあるとしても女子ボクサーが第一号となりそうな方向だ。