なぜ畑岡奈紗は全米女子プロ最終日「64」の猛追で3位タイに食い込む大健闘を果たせたのか…背景にある引き出しの多さ
最終日に自分よりもスコアを伸ばした、キム・セヨンにプレッシャーを与えることはできなかった。それでもプレーオフで涙を飲み、2位タイになった2年前の全米女子プロゴルフ選手権以来となる米メジャーでのトップ3入りは、米挑戦4シーズン目を迎えた過酷なツアーを戦いながら、確実に地力をつけている証でもある。 「この難しいピンポジションやセッティングのなかでアンダーを出して、(スコアを)伸ばせたことはよかったと思っています。あと一歩届かないところはありましたけど、いまの自分にできるベストのことはやり切ったんじゃないかと思います」 今シーズンは新型コロナウイルス禍に見舞われる前の1月の2大会で2位タイと2位に、メジャー2戦目となった9月のANAインスピレーションでも7位タイに入った。そして、前週のショップライトLPGAクラシックの4位に続いて今大会の3位タイと、ハイレベルで融合されつつある技術面の巧さとメンタル面の強さが、常に上位争いを演じさせる安定した強さを生み出している。 だからこそ期待が高まる。ベストの上限値を上げる作業を繰り返していけば、1977年の全米女子プロゴルフ選手権の樋口久子、昨年8月のAIG全英女子オープンの渋野に続く米メジャー制覇も近いのではないのか、と。 その可能性を問われた畑岡は「あまり焦らずに、一歩一歩進んでいければと思います」とはにかんだ表情を浮かべながら答えた。 その「一歩一歩」を愚直に、そして確実に具現化できる姿勢こそが畑岡の真骨頂と言っていい。そして、進化に挑戦する舞台は、今後、日本へと移る。 新型コロナウイルスの影響で、今後の米ツアーは当面休止が相次ぐ。当初は休養にあてる意向を示していた畑岡は「この後は一回日本に帰って、日本の試合に出場する予定です」と明かした。 現状では帰国後に2週間の自主隔離が求められるため、スケジュール的には今月30日開幕の三菱電機レディスゴルフトーナメント(埼玉・武蔵丘GC)からの参戦が有力となる。今シーズン最後のメジャーとなる12月10日開幕の全米女子オープンへ向けて、再びアメリカへわたるまでの約1カ月間にわたって、米ツアーで培ってきた実力を日本のファンの前で披露していく。