なぜ畑岡奈紗は全米女子プロ最終日「64」の猛追で3位タイに食い込む大健闘を果たせたのか…背景にある引き出しの多さ
ウッドとアイアンの中間に位置するユーティリティは、ヘッドの部分にある程度の厚みが施され、ラフなど悪いライでも上手く振り抜けるものが主流になっている。クラブの特性をアプローチに応用できる状況が、米ツアーで必ず訪れると見越して練習を繰り返してきた跡が言葉から伝わってくる。 ウッドの飛距離やアイアンおよびパットの正確性を向上させながら、引き出しの中身も充実させてきた。入念な準備と努力を積み重ねてきた成果として、瞬時にさまざまな選択肢を用意でき、そのなかからベストを選択できるからこそ、予期せぬ状況に直面しても畑岡は動揺しなかった。 スコアメークを支えるショットも、出だしからさえわたった。1番パー(419ヤード)の第2打。5番アイアンから放たれた会心のショットはグリーン上で2度バウンドし、そのまま上りのラインに乗って176ヤード先のカップへ吸い込まれた。グリーン周りにいた大会ボランティアを“Oh, my god”と思わず驚かせた、セカンドショットイーグルで猛チャージへの狼煙をあげた。 3番パー4(403ヤード)と9番パー5(507ヤード)でも、完璧なコースマネジメントと正確なショットからパーオンに成功してバーディをゲット。惜しむらくは6番パー4(362ヤード)か。難しい位置に切られたピンの右2メートルに第2打を乗せながら、バーディパットがわずか左に外れた。 16番パー5(481ヤード)では、第2打をグリーンエッジまで運ぶ。上位の韓国勢2人にプレッシャーをかけるためにも、ティショットからイーグル狙いで挑んだ勝負どころ。迷うことなく放った上りのイーグルトライは、無情にもカップの奥に蹴られてバーディに変わった。 「少し強めでしたけど、絶対にショートしたくなかったので、思い切って打ちました。今日はロングパットの距離がなかなか合わないホールもありましたけど、攻める気持ちをずっと忘れることなくできました。いくつかピンチはありましたけど、そこを上手くしのぐことができたと思います」