畑岡奈紗が米ツアー4位健闘も急遽マスク着用の”異変”で失速?!
首位の背中を視界にとらえた畑岡奈紗(21、アビームコンサルティング)に、ちょっとした異変が生じたのは最終日の勝負どころ、いわゆるサンデーバックナインに入った直後だった。 10番パー4(342ヤード)のティショットを、フェアウェイ右のクロスバンカーへ打ち込んだ後の2打目だった。突然、それまでつけていなかった黒いマスク姿で、畑岡がアドレスに入った。呼吸やちょっとした感覚を含めて、リズムが微妙に乱れてしまったのか。セカンドショットをグリーン手前のラフにショートさせ、2メートルあまり奥に乗せた下りのパーパットもカップの右に蹴られてしまった。 黒マスクの理由は? 実は鼻血が出たのだという。 大西洋に面したニュージャージー州のシービュー・ドルチェホテル・ベイコース(6190ヤード・パー71)で開催されたアメリカ女子プロゴルフツアーのショップライトLPGAクラシック。首位に3打差の4位で日本時間5日未明の最終日をスタートさせた畑岡は、6バーディを奪う一方で4つのボギーを叩くなどスコアを伸ばしきれず、通算14アンダーの4位でフィニッシュした。 最終日に4つスコアを伸ばしたメリッサ・リード(33、イングランド)が通算19アンダーでツアー初優勝。渋野日向子(21、サントリー)が通算6アンダーの27位タイ、河本結(22、リコー)が同4アンダーの40位タイ、上原彩子(36、モスフードサービス)が同1アンダーの54位タイだった。 最終組のひとつ前でプレーした畑岡は前半の9ホールを終えた段階で、昨年3月の起亜クラシック以来となるツアー4勝目に大いなる期待を抱かせていた。畑岡本人も手応えを感じていたのか。右手で小さなガッツポーズを作ったのは、8番パー4(312ヤード)をホールアウトした瞬間だった。
ティショットを背丈以上もある右のハザードに打ち込み、1ペナルティーを科されるトラブルに見舞われた。畑岡自身も「普通に当たっていればキャリーするはずだったんですけど。かなり悪いショットでした」と認める大ピンチで、打ち直しの3打目もピンの奥約2.5メートルにオーバーさせた。 そして、やや下りのフックラインを読み切り、鮮やかに沈めた直後にガッツポーズが飛び出した。続く9番パー5(468ヤード)は2オンに成功。イーグルパットをわずかに外すバーディでスコアを15アンダーにしハーフターンした時点で、首位に1打差と肉迫していた。 しかし、好事魔多し、と言うべきか。 10番のティショットを打ち終えた後に原因不明の鼻血が出るアクシデントに見舞われ、黒いマスクを急遽つけざるをえなかった。11番のティショット時点では外していたものの、ほんのわずかながらでも、経験のない状態のプレーはリズムを乱しかねない。 ティショットを左のラフに打ち込んだ12番パー4(314ヤード)でボギーを叩くと、14番パー4(410ヤード)でも1メートルあまりのパーパットがカップの右に蹴られてしまった。この時点で12アンダーまで後退し、サンデーバックナインでスコアを伸ばしたリードの背中が遠くかすんでいった。 16番パー4(373ヤード)でチップイン。最終18番パー5(492ヤード)では、イーグルパットをショートさせてからのバーディを奪い、単独4位でホールアウトした直後の第一声。 畑岡は摩訶不思議な感覚を抱きながらプレーした最終日だったと、偽らざる胸中を明かしている。 「今日はなかなかショットのリズムが悪くて、いい感覚をつかめずに終わってしまったという感じでした。結果的には2アンダーでしたけど、何だか気持ちとしては5オーバーぐらい打った感じですね。ところどころアイアンでピンを狙えたショットなどもありましたけど、やはりティショットがフェアウェイにいかないとなかなか厳しいですね」 黒いマスク姿でプレーした10番ホールのインパクトが強いものの、スタッツを見ると畑岡の言葉が説得力を帯びてくる。