【The追跡】9,000億円規模の再開発 築地が変える?東京の“都市力”
22日、三井不動産など11社が築地市場跡地の再開発事業者に選ばれたと発表しました。5万人規模のスタジアムを中心に、ホテルや商業施設を作る予定で、大部分が2032年度に完成予定です。中央卸売市場が豊洲に移転してから5年以上がたち、ようやく示された開発計画ですが、東京という都市にとって大きな意味があるようです。 再開発プロジェクトの計画地の広さは東京ドームおよそ4個分。東京駅からおよそ2キロという この場所は「都心最後の一等地」とも言われ、注目されていました。 目玉となるのは、5万人規模のスポーツ大会やコンサートなどに対応できるスタジアムです。観客席などを稼動式にするため、野球やアメリカンフットボールなど様々な用途に使えるといいます。さらに築地の食文化を発信する「フードホール」や「空飛ぶクルマ」の発着場なども整備される予定で、事業規模は9000億。大部分が2032年度に完成予定です。 隣接する築地場外市場は、今も500近くの店が軒を連ねる一大観光スポットになっています。「つきぢ松露」はその場外市場で100年続く卵焼きの老舗です。3代目の齋藤元志郎さんは「人を呼んでもらえるようなものをつくってくれる。それは助かります」と話します。 2018年、旧築地市場が豊洲へ移転。この計画が進む過程で、場外市場の客離れを心配する反対の声が上がっていました。当時それに対し、小池都知事が打ち出したのが「築地は守る、そして豊洲を生かす」でした。 今回発表された築地市場跡地の再開発は、この「築地は守る」という目的にも沿ったものだと齋藤さんは感じています。 「本当に(完成する)8年後、その先どうなっているかはわからない。でも、一応そういう土壌をつくってくれた。われわれが何年後までの間にいろいろ考えてやっていくしかない」(齋藤さん) 外国人観光客に計画について聞くと「魅力的だ。たくさん使われるようになるのでは」(イギリスからの観光客)、「スタジアムならドイツでも見られる。日本特有の経験の方がしたい」(ドイツからの観光客)と好意的な意見もある一方、日本ならではのものを求める声もありました。 土地の所有者で、今回の計画を選んだ東京都は「国内外から人が集まるようなエンターテインメントの場を提供して、築地の食文化を守ってきた場外市場の皆様、周辺とも相乗効果を発揮し、東京の発展に貢献していく」(東京都都市づくり政策部の高野琢央さん)と話します。