なぜ横浜DeNAの宮崎敏郎はFA権を行使せず異例の6年契約でのチーム残留「生涯ベイスターズ」を決断したのか?
横浜DeNAの宮崎敏郎内野手(32)が29日、記者会見を開き、今季6月に取得したFA権を行使せず異例の6年の長期契約でチームに残留することを発表した。なぜ宮崎は「生涯ベイスターズ」を決断したのか。残留工作に動いたフロントの初動のスピードに加え“番長”三浦大輔監督(47)の言葉と本拠地最終戦のセレモニーで聞いたファンの熱い声援が、その決断の背景にあった。
「勝ってファンの皆さんと喜びを分かち合いたい」
苦悩がなかったと言えばウソになる 「(迷いは)あったり、なかったり…」 FAは規定の8シーズンをクリアした選手にだけ与えられる権利。当然、他球団の評価は聞きたくなる。だが、宮崎はFA権を行使せずにチームに残留することを決断した。 シーズン終了の翌日に残留会見が設定されるのは極めて異例。最下位からの雪辱に燃えるチームの、そして宮崎自身の気持ちを象徴するような会見となった。 「横浜DeNAというチームが好きですし、熱狂的な熱いファンの皆さんの前でプレーできるというのも凄く嬉しい。ファンの皆さんと勝って喜びを分かちあいたい。それが残留を決めた一番の理由です」 スーツ姿で会見に臨んだ宮崎の表情は、晴れ晴れとしていた。 最終的に「心が決まった」のは26日に横浜スタジアムで行われた本拠地最終戦後のセレモニーだったという。ヤクルトに1-5で敗れ、甲子園で阪神が中日に負けたため、ヤクルトの優勝が決まり目の前で胴上げを見せられた。 「悔しい思いは凄くありました。自分たちもやらないと、という思いになりました」 その後に今季最終戦のセレモニーがあり、選手各々のメッセージを書き込んだTシャツに着替えて場内を1周した。ファンは最後まで居残り選手に拍手を送ったが、宮崎のチーム残留の気持ちは、そこで固まった。 「最後にグラウンドを1周するときに、これだけのファンの方がいらっしゃって球場に足を運んでくださる。(新型コロナの感染予防対策で)声は出せないのですが、選手には、熱い気持ちが届いている。恩返しをしないといけない。勝たないといけないという気持ちになった」 宮崎が「このチームで優勝したい」との言葉で球団に残留の意志を伝えたのは28日だった。