命をも左右……避難を遅らせる「正常性バイアス」 濁水が迫っても「死ぬわけない」“自分は大丈夫”のワケ【#みんなのギモン】
■避難の理由「差し迫った危機を感じた」
刈川キャスター 「災害が起きた時に正常性バイアスが働いてしまうと、誤った判断をして、自分だけじゃなくて家族や周りの人も巻き込んでしまいます。できるだけ働かせたくないですが、どういうことができるんでしょうか?」 小野解説委員 「陥らないためにどうすればいいのか。西日本豪雨の時に映像を撮影した丸畑さんは『家族が危険を認識し始めたのは、近くの土手から家の方に水が流れてきてからだった。自分の目で見ないと現実味を感じないんだなと思った』と証言されています」 「秦教授は『過去の災害の調査でなぜ避難したのか聞いてみると、目の前に差し迫った危機を感じたから、という回答が多い。危機が具体的に見えていないと、人は反応しづらい』と話しています」 山崎アナウンサー 「危機が来て逃げるのも大切ですが、危機が来る前に逃げるのがベストですよね」
■浪江町で“危機の見える化”システム
小野解説委員 「どうしたらいいのか。目の前の危険を『これはまずい』と感じてもらうしかありません。危機を見える化する取り組みがあります。福島県浪江町では4月から、津波の映像をライブ配信するシステムの試験運用を始めました」 「地震を感知すると、格納庫からドローンが飛行して沿岸部の様子を撮影します。津波警報が出た場合は、住民は専用のアプリを使って、映像をリアルタイムで見ることができます」 「開発を担当した企業は、『状況が分からないから家に戻るということがないよう、自分の見知った町の映像を見ることで命の危機を感じてほしい』としています。その上で、今後の課題についてこう話しました」 会沢高圧コンクリート・宮田達也常務取締役 「通常の水面の高さからどれだけ上がっているのかとか、可視化できる技術はこれから発展させないといけない」 小野解説委員 「今、調整や改良を重ねて実用化を目指しているそうです」 森アナウンサー 「こういった技術・テクノロジーで人間の要素を補完できるようになるといいですけど、なかなか難しいですよね」