〈名字の豆知識〉清水さんの由来は、きれいな水の湧く場所？
清水（しみず）
「清水」という名字は、山梨県・長野県・群馬県の3県にとくに多く、次いで北陸や関東にも多い一方、東北や九州ではあまり多くありません。分布をみると、この3県を中心にして全国に広がっているようにもみえます。 このうち、長野県では県東部に多く、群馬県では旧榛名町（現在は高崎市）で最多となっていたなど、県の南西部に集中していることから、長野・山梨・群馬3県の県境付近一帯が、清水さんの一大集中地域であることがわかります。 さて、「清水」という名字のルーツはきれいな水の湧く場所です。こうした場所は全国各地にありますが、山間部に多いことは間違いありません。多くの川の源流がある長野・山梨・群馬3県の県境付近であるこの地域に「清水」という名字が多いことは納得できます。 しかし、「清水」という名字は漢字と読み方が対応していません。本来、「清」という漢字には「し」という読み方はありません。 では、なぜこれで「しみず」と読むかというと、もともと山の中に湧いた水のことを大和言葉で「しみず」といい、これにあとから「清らかな水」という意味で「清水」という漢字をあてたからです。 因みに、鹿児島県や宮崎県では漢字の読み方通り「きよみず」と読むことも多いです。
森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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