渡り鳥50種を23年追跡、大規模調査で「鳥たちの複雑な社会」が見えてきた、最新研究
「2年後も一緒」の観察事例
「この論文の本当に優れた点の一つが、非常に多くの種を対象に、大規模かつ広範な移動を調べているところです」とカナダ環境・気候変動省の野生生物学者ジャネット・ウン氏は評価している。 「個体間の社会的関係をテーマにした研究はたくさんありますが、この研究は大局的な視点から、何が起きているかを見せてくれています」 また、ウン氏はほかの鳥類グループの知られざるつながりにも思いをはせている。ウン氏は水辺に暮らすシギ・チドリ類を研究しており、今回の研究結果はその見聞きしてきた事例とも一致している。 ウン氏の同僚たちは8月、米国マサチューセッツ州の浜辺で、2羽のヒレアシトウネン(Calidris pusilla)が一緒に立っているのを目撃した。それ自体は驚くべきことではない。ヒレアシトウネンは毎年、北極圏から南米まで何千キロも移動するためだ。 ウン氏が驚いたのは、2羽の脚に付いたタグから、2年前、カナダのニューブランズウィック州で同時に捕獲され、足環を装着された2羽と判明したことだ。 「2年たって、この2羽はまた一緒にいました」とウン氏は話す。「この鳥たちはあれから渡りを2度行い、そしてまた一緒に観察されたのです」
文=Jason Bittel/訳=米井香織