渡り鳥50種を23年追跡、大規模調査で「鳥たちの複雑な社会」が見えてきた、最新研究
直観に反した観察結果も
今回の研究では、鳴き鳥の相互作用の質を評価しようとはしていない。単に、どの種が同時に存在するか、あるいは逆に、どの種がその場所に同時に飛来することが少ないかを追跡しているだけだ。 「私たちのデータセットでは、これらの関係がプラスのものかマイナスのものかまではわかりません」と論文の筆頭著者ジョエリー・デシモーネ氏は話す。デシモーネ氏もUMCESで動物の渡りや回遊を研究している。「鳥たちは互いを網に追い込んでいると考えることもできますし、攻撃的な関係が観察されることもあります」 しかし同時に、鳴き鳥たちは互いを回避する兆候を示すより、一緒に現れることの方がはるかに多いと判明した。実際、全50種のうち、ハゴロモムシクイとルビーキクイタダキだけが、理由は不明だが、互いを積極的に避けているように見えた。 このような社会的傾向は、特に採餌行動が重なる近縁種の場合、研究チームにとっては直観に反するものだった。「似たようなものを食べる種同士の競争が見られると予想していました」とデシモーネ氏は話す。 考えてみてほしい。数え切れないほどの鳥たちが何千キロにも及ぶ移動で疲れているのだ。「彼らは飢えた状態で、見たことのない生息地に到着します。そこでエネルギーを補給し、臓器を休ませ、脂肪を蓄え、さらに前に進むのです」とシモーネ氏は説明する。 ある鳥が別の鳥をライバル視するのであれば、競争は理にかなっている。しかし、これほど多くの種が一緒に、しかも確実に見られるのは、鳥たちの社会的ネットワークが有益ということなのかもしれない。 「また、彼らは餌を素早く見つける必要があるため、採餌行動や餌の好みがよく似たほかの鳥が存在すれば、そこが良い生息地だとわかるかもしれません」とデシモーネ氏は述べている。 研究チームは次のステップとして、鳴き鳥たちがどのようにつながっているかを解明し、気候や鳥類の動向そのものが変化している今、これらのつながりは生態系にとってどのような意味を持つかを知りたいと考えている。